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夜のオフィスに
夜のオフィスは静寂に包まれていた。
外の街灯の光が薄暗いガラス窓に優しく反射し、部屋の中に微かな光の帯を作り出している。
そこには一人、眼鏡をかけた美しい先輩上司、蓮見(はすみ)がデスクに向かって座っていた。
彼の整った顔立ちと細身の体型は、優雅でありながらも、仕事に対する冷徹な姿勢を際立たせていた。
いつの間にか蓮見の背後には、若き後輩の蒼井(あおい)が立っていた。
蒼井は190センチを超える高身長と筋肉質な体格、そして童顔が特徴で彼の存在感は一目でわかる。
その大きな体に似合わぬ、天真爛漫な笑顔が、蓮見には時折気になる。
「先輩、終わりそうですかぁ?」
蒼井のどこか甘えたような声が、夜のオフィスの静けさを破った。
彼の声には、何かを待っているような緊張感が漂っていた。
蓮見は冷静に顔を上げ、眼鏡の上から蒼井を見つめた。
「まだ…、終わらないが」
蒼井はその言葉を聞いても、どこか楽しそうな顔をしていた。
彼の声には、厳しさと共に、蒼井にしか見抜けない、目に見えない期待が込められていた。
彼はしばらくの間、蓮見の背後に立ち尽くし、部屋の空気が一層緊張感を帯びていくのを感じていた。
その顔には、抑えきれない欲望が垣間見えた。
「先輩…」
蒼井はゆっくりと蓮見の肩に手を置いた。
びくっ、と蓮見の体が一瞬、緊張する。
蒼井の手のひらが蓮見の肩を包み込むように感じられる。
蓮見はその手の温もりに身を任せるわけにはいかず、内心で葛藤していた。
「どうした?」
蓮見は冷静に問いかけたが、その声には微かに震えがあった。
彼の心臓は急に速くなり、体温が上昇していくのを感じた。
蒼井はそのまま体を寄せ、蓮見の耳元で囁いた。
「俺は、先輩がどれほど努力しているか知っています。
でも、今夜だけは、仕事を忘れて俺と…」
蓮見はその囁きに心を揺さぶられた。
彼の理性と欲望が激しくぶつかり合い、内心で迷いが生じていた。
しかし、蒼井の言葉には抑えられない魅力があり、蓮見の思考は次第に曖昧になっていく。
「それは、どういう」
蓮見は言葉を詰まらせた。
目の前にいる蒼井の熱い視線が、彼を引き込んでいくのを感じた。
気が付くと、蓮見は彼の手を優しく取っていた。
蒼井の笑顔が一層輝き、彼は蓮見をソファに導いた。
蓮見の体がソファに沈み込み、彼の眼鏡が光の反射でわずかに光る。
「俺は」
蒼井はその顔をじっと見つめ、ゆっくりと蓮見の頬に手を添えた。
「先輩を、俺のものにしたい」
蒼井の言葉が、夜の静寂に響く。
蓮見の呼吸が荒くなり、彼の中で抑えきれない熱情が高まっていくのを感じた。
彼は蒼井の目をじっと見つめ、そして自らの唇を彼の唇に重ねた。
「んっ…」
二人の体が密接に寄り添い、夜のオフィスの中で一つの影を成していた。
日が暮れた無人のオフィスに漂う冷ややかな空気が、二人の背徳的な熱をより一層際立たせる。
蒼井の唇が深く蓮見の唾液を吸いあげると、そのまま流れるように首筋に食らいついた。
「やめっ…、こんな、ところでは」
「じゃぁ、会社じゃなければいいんですか?俺、散々、我慢したんですよ?ねぇ」
甘えるように、しかし、獲物を追い詰めた獣の眼で蒼井は蓮見を見た。
「先輩」
逃れられない。
蓮見は自分がこれほどまでに淫欲にあっけなく屈してしまったことに恐怖し、
また、どこか期待するように震えるた手で蒼井にしがみついた。
そして、蒼井の耳元で吐息と共に消え入りそうな声で囁いた。
「…ここじゃ、やだ。うちで、いっぱいして」
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