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あるペンションでの話
あるペンションでの話である。
「ママ、パパはどこに行ったの?」
「お風呂よ」
冬子はそう言いながら、息子の卓志の着替えを手伝っていた。
しかし、夫である良二はお風呂にはいたものの、少し様子が異なるようである。
「おっ、凄くいいですね……手も綺麗でささくれがなくスムーズだ」
「自慢の手でございますから」
奥ゆかしそうな女性が一人、良二の相手をしていた。
女性の名は昭代。このペンションのオーナーの奥さんである。
このペンションは大変評価が高く、何がそんなにいいのかと旅行ライターの冬子が行きたがった。だから、卓志と良二はその仕事についてきた形になる。
「資金は向こう持ちだし、たまには家族旅行もいいものだ」
良二がペンションに一歩踏み入れると、薪ストーブが焚いてあった。
「いらっしゃいませ。寒かったでしょう」
オーナーが出てきて挨拶をした。その後ろにいたのが繊細そうな昭代である。
「お世話になります」
冬子がオーナーに名刺を渡している間、良二はずっと昭代に見つめられていた。
「あの、何か?」
「いえ、立派な体躯だと思いまして……」
「ああ、俺の仕事は力仕事なので体が大きいんですよ」
良二は自慢の腕を晒し、ムキと力こぶを出す。卓志がきゃっきゃと喜んで、腕にぶら下がった。
「ま、まあ! 凄く良い形の上腕二頭筋!」
昭代が驚いて、顔を真っ赤にしている。
良二はこの奥さんは筋肉フェチだということを知った。
「お風呂に行ってくるぞ」
「行ってらっしゃい」
妻と子に見送られて、風呂場に行くと、昭代が待っていた。
「? 風呂掃除ですか? これは失礼した」
「いいえ、これから当ペンションのサービスを受けてもらいます」
良二は「サービス?」と思いながらも、お願いをした。無料ならしてもらうことに損はない。
「では、失礼して……」
昭代の細い手がボタンにかかった。
(ま、まさか。これは!)
良二があたふたとしている間に彼女はシャツを取り去ってしまった。
「昭代さ……」
「お静かに」
柔らかだけれど、鋭い言葉だった。確かにこんなところを冬子に見られたら一巻の終わりだ。良二は静かに昭代に脱がされた。
良二が脱がされた後は、昭代も脱いだ。
真っ白い肌があらわになり、良二はドキドキと鼓動を高鳴らせた。
風呂場に入ると体を洗われる。素手でだ。昭代は十分に泡立てると、そっと良二の体に触れた。
「ふふ、お客さんのここ、本当立派」
そう言いながら、胸筋を撫でまわしている。その手つきはいやらしく這っている。
時折乳首に手が当たり、良二がぴくと反応した。乳首は冬子に開発されているため感じやすい。
弱点が分かったのか、昭代が乳首の周りを撫でながら、段々と中心に向かっていく仕草を何度も繰り返す。焦らしが得意ではない良二は興奮で汗がどっと出た。
「腕も太いですね。私の倍以上ありそう」
腕を昭代の体で洗っていく。
「ぁっ……」
昭代の乳首が腕で擦れて声を出す。艶やかな声に更に良二は反応した。
「これが当ペンションのサービスでございます……」
「む、その先はないのか?」
立ち上がったペニスを前に、良二は困った顔をした。
「そこからは……」
「駄目というのか」
良二はシュンとしてしまった。
「ですが、そこを洗うのであれば問題ございません」
「では、お願いしよう」
こうして、良二は…にも昇る気持ちになった。
「ここのペンションはいいな」
風呂上りに冬子に言えば、「そう?」と返ってきた。
「何の変哲もないペンションだけどなあ。でも、オーナー夫婦はいい人たちだね」
「ああ、そうだな」
こうして1泊2日の家族旅行は大成功に終わった。
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