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はじめましての恋をしましょう
「ねえ、ちょっとした遊びだって言っただろ?機嫌直せって」
ツンと彼の言葉を素知らぬ振りをして、髪を乾かした。
それでも彼は弁明するように、何度もベッドに正座をしながら犬のようにキャンキャンと騒いでいた。
その姿が少しだけ面白いと思っても、今は決して口に出すべきことではないだろう。
何とかして私に許しを貰おうと、ホテルに付属されているお菓子などを私に差し出してきたり、一緒に飲もうと思って準備でもしていたのか。
ベッドに正座した彼の前には、私の好きなお菓子なども置かれていた。
それでもやはり約束は約束だ。
心の中では既に許していることであっても、約束を破られてしまえば機嫌だって損ねてしまうもの。
やっとベッドから降りて、私の手からドライヤーを奪い取り、後ろから抱き着いてくる彼に小さくため息を漏らした。
「…本当に反省してる?」
「ホントホント!お前がそこまで拗ねるなんて思わなかったんだよ!いつも俺に関心なんてないし…俺はそこまで言えるような関係じゃないしさ…」
もじもじと怒られた子供のようにあからさまに落ち込んでいる彼の姿を見ていると、思わず頬が緩んでしまいそうになる。
確かに彼の言う通りだ。
私達はただのキスフレンドからセフレに上がっただけの関係性で、お互いを縛り付けることはしない約束だ。
けれど予定を合わせて落ち合う三日前からは、他のセフレとはセックスもキスもしない約束だった。
だが、二日前にたまたま会社の付近を歩いていた彼と遭遇し、別の女性と街中で堂々とキスをしているのを見てしまったのだ。
今日会った時にでも報告してくれれば良かったものの、私に怒られるのが怖くて言わなかった彼に、二日前のことを話した。
すると、どうやら相手は交際を迫ってきていた女性のようで、何度も断ってはセフレの関係を続けていたが、二日前にやっと関係を終わらせようとした所で、キスをされたのだと説明された。
何はともあれキスをされたことには変わりない。
というより、私達もセフレの関係なのだからそこまでお互いを縛る必要もないのだ。
しかしその約束を持ち掛けてきたのは紛れもなく彼だったから、余計に怒っているのだ。
私の方が律儀に約束を守っていたようで、彼はそんなことはなかったのだと知ったことに腹を立てただけ。
別に彼がどこで何をしようと私には関係ないし、言えるような立場ではない。
だが、言い出しっぺである彼にそこまでされたことはやはり許せない。
「もう帰ろうかな」
「ま、待ってくれ!なあ、頼むよ!お前に会うの楽しみにしてたんだからさ!」
「だってそう言って約束破ったのそっちでしょ?」
「ぐうの音も出ない…」
「なら帰っても良いでしょ」
そう言って私がシャツのボタンを留めようとした所で、彼の手が強く腕を掴んでベッドに引き倒してきた。
ばふっとベッドに勢いよく押し倒されて不満げに彼を見つめると、怒られた子供のように眉を下げてこちらを見つめていた。
「俺、お前に会うの楽しみにしてたんだって…本当なんだ」
「…でもキスはされたじゃない。私は三日前から別のセフレともキスもセックスもしてないのよ?これから別のセフレを呼んでセックスしようかなって思ってたんだけどなあ」
からかうように彼の反応を見つつ、いつもよりも大層拗ねたように顔を背けて怒る素振りを見せた。
どうやら流石に堪えた様子で、あからさまに落ち込み、唇を尖らせている。
私達はただのセフレなのに、何をそこまで落ち込む必要があるのか。
自分達の好きなようなセックスをしてそれで終わりの関係だ。
それに彼と出会ったのだって運命的なものでもなく、ただのキスフレンドをマッチングアプリで募集した時に知り合った。
そんな深い仲でもなければ、甘い恋人のような関係でもない。
いつもよりからかい過ぎたのか、流石に落ち込み過ぎて、顔を上げてくれなくなってしまった。
その態度に、こちらが悪いように思えて良心が痛み始める。
小さくため息を吐いて、彼の首に腕を回して引き寄せた。
ぎゅっと胸に彼の頭を抱き締めると、すぐに背中に腕が回り抱き着いてきた。
「…許してくれないかと思った」
「あなたが約束を破るからよ。これからは不意を突かれないようにしなきゃね」
わかった、と落ち込んでいた声から少し弾んだ声に変わり、私の首筋や頬にキスをし始めた。
そして頬に軽いキスをして、今度は唇にキスをされる。
軽いキスだったのが徐々に深いものに代わり、お互いの唾液が交わるように舌を絡め合う。
私がシャワーに入っている間にお菓子でも摘んだのか。
彼の咥内からはチョコレートのような甘い味がして、それが徐々に私の咥内にも広がり出す。
じとっと拗ねるように彼を見つめて、甘い味の残る咥内を舌を突き出して見せた。
「…怒られてるって分かってて、つまみ食いするなんて最低」
「わ、悪かったって!緊張してたんだよ!頭を冷そうと思ったけどシャワーに入っちゃってるし!どうしようかなって思って!」
「それでブランドのチョコレートは美味しかった?」
そう問い掛ける私に、彼は困ったように頷いてまた謝ってきた。
別に怒っていないし、寧ろこんなに甘いキスは初めてだった。
冗談よとからかうように、彼の唇にキスをしながら、舌先で濡れ光る彼の唇を舐め上げた。
それが合図かのように、私の首筋に軽いキスをしながら下腹部に手を這わされる。
ズボンなど履いていない下腹部は簡単にショーツを発見され、布越しにやんわりと優しく膣の割れ目を撫でられた。
クニクニと膣の割れ目を指でなぞられて僅かに震え出す腰に、ふと恥ずかしさが込み上がる。
たった三日セックスも自慰もしなかった体は、簡単に些細な刺激で快感を拾う。
その反応が嬉しいのか、彼は目を細めて嬉しそうに笑みを浮かべて、私の首や鎖骨にキスをして、頬や額にもキスをしてきた。
キスフレンドから始まった彼のキスは、優しくていつも蕩けそうな程、気持ちの良いものだった。
彼とキスフレンドになってからは、今までのキスフレンドとは関係を切り、セフレだけに絞った。
けれど最近、彼はセフレさえも良くは思っていないように思えた。
自分とのセックスをする前には、誰ともしないでと持ち掛けてきたのも彼だ。
何を思ってそんなことを言ったのか、未だに分からなかった。
それでも、彼とのセックスやキスは今までの中で一番と言っていい程、好みのものだった。
何度も啄むようなキスをされ、耐え切れずに自分からも軽いキスをすると、彼もそれに応えてくれる。
それが嬉しくて何度も唇に吸い付いていると、グ二ッと秘豆を弄られ、大きく体が跳ねた。
突然の強い刺激に、思わず唇を離すと心底嬉しそうな笑みを浮かべる彼と視線が交わった。
「ここ…好きだよな。キスだけでこんなにコリコリさせちゃって、可愛い」
「う、んぅッ…すき、じゃ…ないッ…んぅ、ッあうッ!?」
首を横に振って、そんなことはないと否定した瞬間。
グ二ッと先程よりも強く摘まれて、ガクンと腰が痙攣した。
荒くなる呼吸と、すっかり勃起してしまった秘豆を彼は嬉しそうに指先で啄いてきた。
その感触さえも敏感に感じ取ってしまう体は大きく震えて、足に力が入らなくなってくる。
腰を上げてと耳元で囁かれて、スリッとすぐにショーツを脱がされ、ジワッと愛液の滲み出す膣が彼の眼前に広がった。
足を左右に大きく開かれ、その間に彼の体が割り込み、重たく熱い吐息を吐き出して、ズボンを少し脱いで、既に臨戦態勢の陰茎を取り出した。
先端からはダラダラと先走りが溢れ出し、それを潤滑油のように膣の入口に塗り込まれていく。
ヌルヌルとした感触が体に伝わってきて、甘い痺れるような快感が駆け抜けていく。
ちゅぽちゅぽと、先端を入口に押し当てては離してを繰り返していく内に、粘着質な水音が聞こえ出し、顔に熱が集まる。
「や、だッ、それ…ッや、…ッ」
「可愛いよ。俺でこんなに感じてくれるんだから。…ねえ、他の男にもこんな可愛い姿見せてる…?」
少し眉を寄せて困ったように笑った彼の言葉に、何を言ってと返事をしようとした所で、ゴリュっと強い衝撃と共に、肉壁を割り開いて質量の増した陰茎が挿入された。
張り詰めた陰茎で肉壁を強く突き上げながら打ち付けてきて、体のあちこちに快感が走り、声にならない声を上げた。
三日我慢した分快感も強く、膣内を縦横無尽に突き上げられる度にヒクヒクと膣内が痙攣してしまう。
畝ねるように何度も抜き差しされる陰茎を強く締め付けては、愛液を垂れ流した。
抜き差しされる度に、膣内は嬉しそうに愛液を溢れさせて、卑猥な水音を響かせる。
「ん、ぅッ、うぅ!!だ、めぇッ…!きょ、やだッ…!やだやだッ…ぁぁッ!ひうぅッ…!!」
「可愛い…ホント可愛い。やっぱり抱くならお前が良い…お前じゃないとやだッ…」
激しく突き上げられる合間に僅かに聞こえてくる声に、彼が切なげに私を見ていた。
どうしてそんな表情を浮かべるのか分からず、彼の不安を取り除く為に、深いキスをした。
大きく見開かれる目と、少し弱まる膣内を突き上げる感触に、思わずきゅうっと強めに中を締め付けてしまう。
物足りなくて、もっとして欲しくて、早く自分の良い所を突き上げて欲しい。
そう望むように、自らも腰をガクガクと動かして、子宮口に当てるように腰をくねらせて、強請ってみせた。
それに応えるように、顔を顰めて足を更に大きく開かれて、グリッと強めに子宮口を突き上げられた。
「んひぃ、ッぃぃ!?そ、こぉ、だめなのぉッ…!つよ、いの、だ、めぇッ!!」
グポグポと激しく子宮口だけを突き上げてくる快感に、身を捩って抵抗するも、すぐに腰を密着されて、ガクガクと揺さぶられる。
その快感がたまらなくて彼の背中に腕を回して強く爪を立てると、ググッと陰茎の質量が増し、中を強く圧迫した。
荒い呼吸を吐きながら無我夢中で腰を振り乱す彼の吐息が直に耳元で聞こえてきて、全身に快感が走る。
「ひ、ッ、ひゃうぅッ、ん、あぁ、あんッ!!も、だめ、ぇッ!い、くぅッ、いっちゃ、ぅぅぅ!!」
ビクンと膣内を痙攣させて絶頂し、中をきゅうっと強く締め付けると、子宮口を突き上げる陰茎の速度が上がった気がした。
ビクビクと陰茎が震え出し、腰を打ち付ける速度が早まる。
達した快感が抜けないままガクガクと肉壁を割り開いて突き上げられてしまい、背を仰け反らして二回目の絶頂を迎えた。
ビクビクと痙攣する体を押さえ付けられるように、彼の体が伸し掛ってきて、身動きが取れなくなる。
藻掻くことも、逃げようと腰を引くこともできなくて、ただ悲鳴に近い喘ぎを叫ぶことしか出来なかった。
「や、ッあぁぁ!やだッ、いやぁッ!ふ、かぃ、ッ!!」
「ッ、はぁッ…ねえ、俺の恋人になって…もう誰ともセックスしないで…!ずっと、お前と抱き合っていたい…ずっとキスもしたい…!ずっと一緒にいたいんだッ…ぐッ…!」
激しく突き上げられながら、聞こえた彼の言葉に胸が締め付けられるように嬉しくて、彼の胸板に顔を寄せた。
嬉しそうに私の頭を抱き締められた瞬間に、ビュクビュクと中に吐き出される精液の感触。
トプトプと陰茎の先端から止めどなく吐き出される精液が、膣内を満たしていく。
それがたまらなく好きで、何より彼とのセックスが一番好きだった。
愛されているように抱いてくれて、優しい言葉も掛けてくれる。
それだけで充分過ぎる程、心も体も満たしてくれる。
彼の唇にキスをして、ふと笑みを見せる。
「は、ッ…はッ…ず、っと…だきあって、いたいんでしょ…?」
首を傾げながらながら彼の腰に足を絡めると、大きく目を見開かれるも、すぐに嬉しそうに笑みを浮かべた彼の目と視線が交わるのだった。
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