0
長年の思いを募らせて
「突然、連絡が来たからどうしたのかと思ったわ」
「はは、すみません。ちょうどこっちに帰って来てたもので。先生にお会いしたいなって思って」
照れくさそうに笑みを浮かべて、頭を搔く彼にこちらまで嬉しくなる。
昔よりも少し身長も伸びたようで、顔つきもどことなく男臭くなったものだ。
ラフな白いTシャツに、すらりと長い足を強調したスキニーパンツ。
昔のように冬でも半袖の制服で登校していた子とは思えない程、見違えたものだ。
ぼんやりと彼の隣を歩きながら、その姿を何度も見つめていると、ふいに切れ長の目と視線が交わる。
ニヤリと楽しそうに口端を上げて、意地悪そうな笑みを見せて私の顔を覗き込んだ。
「俺これでもモテるんですよ。見惚れました?」
「…馬鹿なこと言わないで。あなたにそんな感情は湧きません。元教師と生徒の間柄でそんな…」
「本当に、そんな感情は湧いてきませんか」
今までの笑顔が嘘のように、彼は顔を顰めてジッと強い眼差しで私を見てきた。
その顔がやけに大人っぽく見えて、思わず顔を逸らす。
「冗談はよして。あなたはただの元生徒よ。そんな感情湧いてくる訳ないでしょ」
「でも、あの時の約束が無効だなんて言いませんよね」
そう言って、力強く掴まれた腕に引き摺られるようにズンズン前を歩いていく彼に、小走りで後をついて行く。
どこに行くのかと彼に向かって叫んでも、反応はなくて、どんどん街から離れていき、気付けば辺りにはネオン街が広がっていた。
「やめてよ、離して!聞いてるの!?」
彼の手を必死に掴んで抵抗しても、一切私の方を見ずにそのまま彼が向かったのは、派手なライトで輝くラブホテルだった。
ふざけないでと叫んで見るも、こっちを見向きもしない彼に、不安感が過ぎる。
力強く腕を引き、慣れた手つきで適当に様々な部屋が表示された画面を扱い、自販機の中から出てきた鍵を持って、すぐに部屋に向かう彼。
派手な廊下を歩いて行けば、あっという間に彼の選択した部屋に到達した。
グイッと腕を引き寄せられて、部屋に押し込められた。
ガチャッと鍵の閉まる音が聞こえて、自分がもう逃げられないことを知る。
彼を強く睨み付けると、ふいに悲しそうな目と視線が交わる。
お腹に回った腕によって、軽々と持ち上げられて、簡単にベッドへと押し倒された。
「ねえ、血迷ったことをしないでちょうだい。私とあなたがこんな所に来て良いはずが…」
「卒業式の日のこと、覚えていますか」
小さく呟かれた言葉と共に、彼が私の上に覆い被さってきた。
昔から男前な顔立ちをしていることは知っていたが、ここまで近付かれるとこんなに整った顔立ちをしていたのかと気付く。
卒業式。
あの日のことなど、鮮明に覚えているに決まっている。
私もまだ若くて、彼も思春期真っ只中で、何度も怪我をして保健室にやってきていた彼の存在など、学校の生徒の中で一番知っている。
怪我の手当をする度に困ったように笑って、申し訳なさそうに顔を逸らしていたのも覚えている。
熱が出たのに部活に出るなどと言って、家に帰ろうとしなかった彼を何度家に送り届けただろう。
「気を付けて」と何度忠告しても、絶えず怪我ばかりの彼を、いつしか他の生徒の誰よりも気に掛けてしまうようになった。
保健師を辞めても彼のことだけはずっと忘れることはなく、転勤しても彼のことはよく別の学校でも話す程、印象の強い子だった。
というより、忘れようとしていたのかもしれない。
「…あんな言葉…忘れるはずないじゃない」
学生だった彼のことをまさか男として見てしまうなど。
人懐っこい笑みを見せて、幼い子供のようにやんちゃばかりをする彼を、いつしか心配するようになっていたのだから。
怪我ばかりの彼が毎日のように友人達と一緒に保健室にやってくる光景はもう、恒例となっていた。
卒業式の日も先生の所に来るからと、友人達と話しては名残惜しそうにしていた彼。
そんな彼は卒業式の終わりに、友人達と一緒ではなく、一人で保健室にやって来たのだ。
目を細めて私の左手を見た彼は、小さくため息を吐いた。
「大学に行って、立派な大人になってから迎えに来てって言ってたじゃないですか」
「…ごめんね」
「そんなに…結婚したいと思う程、良い人だったんですか」
私の顔の横に手を置いて、逃げ道を塞がれる。
見下ろす彼の目がゆっくりと細められて、私の首元に顔を埋めてきた。
チュウッと甘く吸い付かれ、体がピクッと反応をしてしまう。
駄目だと分かっているのに、大人の顔になった彼に抗うことが出来ない。
あの時の純粋な彼への気持ちが湧き上がるように、ゆっくりと彼の首に腕を回した。
「…良い人止まりなのかもね。あなたを思う気持ちよりかはきっと…愛していないのかもしれない」
そう言って、彼が言葉を発するよりも先に自ら唇を重ねた。
温かくて少し薄い唇の感触に、何度も軽いキスを繰り返して、首に回した腕に力を込めてよりいっそう彼を引き寄せた。
それに応えるように、彼もまた目を細めて私の体を抱き寄せてキスをしてくれる。
軽いキスだけだったのが、徐々に深いものに変わり、上唇を甘噛みされたかと思えば、少し開いていた唇の隙間から舌を押し込まれた。
グ二ッと咥内に押し入ってきた舌は火傷しそうな程熱くて、少しタバコの苦い味がした。
うっとりと彼のキスに酔いしれながら、自分もおずおずと彼の舌に自分の舌を絡めた。
肉厚で力強くて、前後に扱くように器用に吸い上げられる舌に、ピクッと腰が跳ねる私に、彼の口元が嬉しそうに笑みを浮かべる。
キスだってそれなりに経験を積んできたはずなのに、蕩けるような甘い痺れが体に走るのは初めてのことだった。
ちゅぱっと咥内から引き抜かれた舌が唾液を纏って、お互いの唇から離れていくのをぼんやりと眺めた。
「は…ッ…気持ち良さそうな顔してる」
嬉しそうに私の頬にキスをして、軽く唇にもキスをして来る彼に、急に恥ずかしさが込み上がる。
私の方が年上なのに、自分が良いようにされているのが余計に恥ずかしさを感じた。
当時の彼を思う気持ちが溢れ出てきそうで、思わず顔を逸らした。
けれど彼はそれすらも許さないと言わんばかりに、顎を持ち上げてもう一度深いキスをした。
甘い痺れが体のあちこちに走って、目眩すら感じそうな程快感が駆け巡る。
キスに気を取られ、スカートの中に手を入れられていることに気付かなかった。
突然感じるショーツに触れる指の感触に、大きく体を跳ねさせてしまう。
「んひゃッ…うぅッ…!」
指の腹で軽く膣の割れ目をショーツの上から撫でられたかと思えば、ズリッとショーツを横にずらされた。
そのまま指の腹が膣の入口を通り過ぎて、まだ柔らかな秘豆をコリッと押し潰された。
突然の強い快感に、悲鳴に近い喘ぎ声が漏れてしまい、咄嗟に口元を手で覆った。
だが、彼の指は尚も秘豆を弾いたり、摘んでは軽く引っ張ってみたりを繰り返す。
甘い痺れが徐々に強い刺激に変わり、ビクビクと腰が震え出す。
声を押し殺しながら、跳ねる腰を何とか押さえ込もうとするが、親指と人差し指でコリコリと押し潰されてしまえば、体は簡単に快感を受け取ってしまう。
「んぐッ…ひッ、ぃッ…」
「先生、声出してよ。俺に聞かせて。ずっと先生の甘い声を想像しながら抜いてたんだからさ…今だけでも可愛い声聞かせてよ」
そう言って大きな手が簡単に私の両手を一纏めにし、ベッドへと縫い付けられる。
突然のことに口からは小さな悲鳴が零れた。
片手で秘豆をコリコリと弄られ、身を捩っても離れることはなく、腰をくねらせればくねらす程、コリコリと秘豆を弄る力が強くなる。
ビクビクと断続的に震える腰に、足を閉じようとするが、既に足の間に彼の体が割り込まれていて、それさえもできなかった。
唇を噛み締めて、必死に声を押し殺しても何の意味もなく、徐々に膣内からは愛液が滲み出す。
ジワリと膣内から溢れ出す愛液を、秘豆を弄っていた指に纏わせて、先程よりも素早くコリコリと弄られてしまうと声など到底抑えることなどできなくなる。
「んぐぅ、 うぅ!や、あぁッ!んあぁッ…あ、ぁぁ!!」
ガクガクと腰が震えて、迫り上がってくる快感に、膣内が大きく痙攣し絶頂を迎えてしまった。
元生徒である彼の手によって達してしまった自分が急に恥ずかしくなり、頬に熱が集中した。
けれどそれに反して体は、指先が敏感な箇所に触れるだけで腰は痙攣し、早く早くと弄って貰えるのを期待してしまう。
堪らない心地良さが体を駆け抜けていき、押さえ付けられていた腕が解放され、捲り上げたスカートを持っていて、と指示をされる。
力の入らない手で、スカートを持ち上げて、荒い呼吸を整えようとした瞬間だった。
グポッと太くて硬い何かが、膣内を圧迫した。
「ひ、ッんうぅ!?」
旦那のよりも太くて硬いそれは、先端だけ挿入されているのだと気付いた。
雁首を入口に引っ掛けて、出たり入ったりを繰り返す。
グポグポと何度も抜き差しをされ、もどかしさと強過ぎる快感が全身を覆う。
そう強く心中で望んでも、出たり入ったりと繰り返す先端は浅い所を刺激するだけで、物足りなさを感じてしまい、涙が頬を流れる。
嬉しそうに笑みを見せた彼は、堪らないと言いたげに私を見た。
「まさかこんなに可愛い顔を間近で見れるなんてね…先生、俺嬉しいよ」
首元に軽いキスをされ、耳元で低く囁かれる声にビリッと甘い快感が体を駆け抜けていく。
グイッと片足を持ち上げられて、深々と膣内に昂った陰茎を挿入された。
突然の膣内の圧迫感に涙が溢れて、理解が追いつかない。
「んぎッ、あぁぁ!!やだぁッ、ふあぁッ!」
ググッと最奥だけを突き上げられて、何度も激しく膣内を締め付けてしまい、くっきりと陰茎の形が分かり、胸が締め付けられるように嬉しくなる。
ビクビクと震える腰を掴まれて、逃げることも引くことも出来ず、ガツガツと最奥ばかりを狙って突き上げられた。
ひっきりなしに漏れてしまう自分の声とは思えない喘ぎ声に、恥ずかしくて耳を塞ぎたくなる。
それでも彼が激しく腰を打ち付ける姿を見るだけで、気持ち良さで頭が一杯になってしまう。
やっと彼と繋がることが出来たのだと、そう考えるだけできゅうっと強く中を締め付けてしまい、顔を顰めて私を見下ろす視線と交わる。
「は…ッ、ぁ…駄目だよ。そんなに締め付けちゃ…動けないでしょ」
「ひ、ッうぅ、んんぅぅ!だ、めぇッ、そこ、そこやだぁぁッ…!」
意地悪そうに笑みを零して、強く腰を掴んでググッと引き寄せたかと思えば、子宮目掛けて強く突き上げられた。
バチュンバチュンッとお互いの肌がぶつかる音が激しさを増していき、徐々に中を突き上げる速度も早まる。
息を詰めるように、顔を俯かせて深く息を吐きながらビクンと陰茎が膨張した瞬間。
ビュルルッと激しく膣内に吐き出された精液に、敏感になっている膣内は簡単に快感を拾ってまた絶頂を迎えた。
激しかった腰の打ち付けが穏やかに代わり、ゆったりと腰を動かしながら、唇に軽いキスをされた瞬間。
コリッと秘豆に突然触れられ、意図しない甘ったるい喘ぎ声が漏れた。
「まだまだだよ。先生、何年も募らせた俺の思い…全部受け止めて」
うっとりと私を見つめて来る彼の目に、下腹部に痺れが走り、胸がきゅうっと締め付けられる。
男臭い笑みを浮かべて、ジッと私を捉えて離さない。
「あの時の告白、受けてくれるよね?」
保健室で聞いた幼い声は、今は低い男性のものに代わり、まるで呪文のように私の胸の中に入ってくる。
どうしようもない嬉しさが込み上がり、彼の首にしっかりと抱き着いて、囁いた。
「私も、すき…なの…だい、すき…」
ぼんやりと滲む視界に見えた彼の嬉しそうな顔を見た時、左手の薬指にはめられていた指輪が彼によって簡単に外され、ベッドサイドに置かれた。
その光景を横目に見ながら、挑発的に彼を見つめて深々とキスをしながらもっと欲しいと彼に強請るのだった。
コメント