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しつこいほどに抱かれて
「悪い、待たせた」
そう言ってホテルの一室に入って来たのは、スーツ姿の彼だった。
どうやら仕事が長引いたらしく、いつもの待ち合わせよりも遅れてホテルに到着したらしい。
既に買ってきていたお酒を飲み干して、私は少しほろ酔いぎみで彼の方を見た。
私の目の前に腰を下ろして、メニュー表を開いて、色々な物を選びながらどこかに電話していた。
そしてスーツの上着を脱いで、シャツ一枚の格好になった。
一応自分でも用意をしていたお酒をグラスに注いで、彼に差し出した。
するとそれを見た彼は、少し不満そうに私を見てグラスに口を付けた。
「別に君が用意をしなくても良いって言っただろ?」
「でも、いつも奢られっぱなしは嫌なのよ。少しだけでも自分で用意して、お互いにお酒を楽しみたいでしょ?」
ふんと、鼻を鳴らしながら、彼のグラスと自分のグラスをカチンと合わせて乾杯した。
その後、運ばれて来た食事やお酒などを堪能し、他愛もない世間話をする。
それが彼と出会ってからずっとしていることだった。
特に何か話をする訳でもなく、お互いにお互いの話をして、何気ない会話を楽しんだ。
昇格したとかで彼と出会った頃よりかは、忙しい毎日を送っているようで、会えるのも月に数回。
前のように毎週会えることはなくなってしまった。
それに少し寂しさを感じるが、結局私達の関係性はそこまで発展しないような、浅い関係だ。
出会いが欲しくてアプリを利用して、趣味が合ったから一緒にいる。
それだけの関係性だったこともあって、隠し事なくお互いの鬱憤を話すことが出来ていた。
私の空になったグラスを見た彼が、テーブルに置かれたお酒の瓶を持って、私に差し出す。
それをやんわりと断るように、グラスの上に手を乗せて首を横に振った。
「ううん、もう充分楽しんだわ。お腹がお酒だけでたぷたぷになっちゃう」
「はは、それは困るな。だってこれから俺でお腹を満たしてあげるんだから」
テーブルに肘をついて私を見つめてくる彼の指が真っ直ぐに私の下腹部を差した。
そして、持っていたグラスに大きな手が重ねられた。
手の甲を指の腹で撫でるように、触れられてピクッと手が震えた。
私の小さな手を包み込んでしまう程の大きな手が、きゅっと優しく握ってきた。
思わず喉が鳴る。
ジッと私を見つめてくる彼の鋭い視線は、熱を孕んでは、さも楽しげに口端を上げていた。
私の手からグラスを離して、身を乗り出して私の唇にキスをしてきた。
突然のことに目を閉じることも忘れて、ほろ酔い気分の頭では何も考えられなくなる。
すぐに離れた唇に、彼の熱が伝わってきたようで、唇が熱くなった気がした。
それどころか、口の中までお酒が回ったような感覚になる。
口元を抑えながら彼の方をジッと不満げに見つめると、したり顔の彼と視線が交わる。
「…あなたのお酒は度数高いのよ」
「君は甘いお酒の方が好きだから、すぐに酔いが回りやすい。少しぐらい試しに飲んでみるか?」
「嫌よ、あなたのお酒なんていらない。それに…あなたならそれ以上のものをくれるんじゃないの?もっと酔い潰れそうなモノを…」
そう言って、自分からも彼の唇に軽いキスをして、唇を舐め上げた。
それが合図かのように、彼は楽しそうに笑みを見せて、席から立ち上がると、ネクタイを緩めて私を抱き上げてきた。
軽々と抱き上げられた体は、簡単にベッドへと押し倒されて、彼が覆い被さってきた。
あんなに度数の高いお酒を飲んでいながら、一切酔っていない彼が、少し羨ましいと思った。
若い頃からすぐに酔いが回りやすくて、お酒も度数の低いものでないとすぐにベロベロになってしまう。
そんな姿を見られたくなくて、彼と会う時はいつも、少し度数の低めのお酒を飲んでいたのだ。
「ホント酔い回り易いな。顔真っ赤で可愛い」
「あんなに度数高いお酒飲んでた癖に、酔わないなんて羨ましいわ」
いつものように、からかうようなことばかりを言ってくる彼を、静かに睨み付けながら、彼の腰に足を絡めて、ゆったりと腰を揺らして見せた。
少し驚いたように目を見開いて、私を見てきたが、すぐに何かを思い付いたように口端を上げて、男臭い笑みを浮かべた。
タイトスカートだったこともあって、太腿まで捲り上がっていたスカートを、更に太腿の付け根辺りまで捲り上げられた。
彼好みの下着を着用していたことにも気付いたのか、布越しにショーツをスリッと撫で上げてから、既に昂った股間を押し当ててきた。
Tバックのショーツだったこともあって、彼はそのまま紐のようなショーツを鷲掴み、グッと強く上に引っ張り上げた。
「ひッ、ぅう!?」
突然の痺れるような快感に、ビクンと腰が大きく跳ねた。
膣の割れ目に食い込むショーツが、コリコリと秘豆を擦り上げてくる。
小さな動きが堪らなくて、背を仰け反らせてピクピクと体を震わせてしまう。
一人ですることはあったが、そんな頻繁に性欲を抜いている暇などなかったこともあって、久しぶりの強い刺激に目眩を覚える。
コリッと強めにショーツを引っ張り上げられれば、膣の割れ目に食い込みつつ、秘豆をググッと布に押し潰される。
同時に襲ってくる強い快感に、目をギュッと強く閉じて、荒い息を吐きながら腰をゆったりと動かす。
もどかしい快感が体を駆け抜けて、何度も膣の割れ目に食い込ませて、私の反応を楽しむ彼の口端が上がったのを見た。
何かを企む時に見せる子供っぽい表情。
そしてすぐにそれが何かに気付く。
ショーツと膣の割れ目を縫って、彼の指がニュグッとまだ狭い膣内に入ってきたのだ。
上壁を擦り上げながら、グリッと抜き差ししてくる指に、身をよじって甘い喘ぎを漏らしてしまう。
「ん、ッ、ふ、ぅ…ッ、くる、しぃッ…」
「おいおい、これからもっと太いの入るんだから。もっと力抜けって、な?」
耳元で感じる艶の乗った低い声に、ジワッと下腹部に甘い痺れが走る。
荒い呼吸の中で、交わる視線に惹かれ合うように、何度も唇を重ねて軽いキスを繰り返す。
ジュポジュポとゆっくり抜き差しされていたのが、突然強く上壁を擦り上げるように抜き差しをしてきた。
突然の強すぎる刺激に、思わず背をしならせて唇を強く噛み締めた。
滑りが足りず、膣内を圧迫していた指が徐々に愛液を纏い始めて、滑りが良くなったのか抜き差しをする速度が上がる。
「ひ、うぅぅッ!ん、あぁ、んんッ、!」
一本だった指が二本に増やされ、上壁を擦っていたのが、今度はくぱっと広げるように指が動き出す。
トプトプと溢れ出してきた愛液が、広げられた膣内から滲み出し、彼が指を動かす度に激しい水音が聞こえ始める。
恥ずかしさを感じるも、強過ぎる快感に抗うことができず、背を仰け反らせて腰をビクビクと痙攣させることしかできなかった。
くぱくぱと膣内を広げられる度に、最奥から止めどなく溢れてくる愛液が、太腿を伝い落ちてくる感覚を感じ、自分がはしたなく思えてじわりと涙が滲み出す。
それを困ったように見つめて、指の速度を落とすことなく、彼は頬や額にキスをしてきた。
「そんな泣くなって…まだまだ序の口だろ?夜はこれからなんだからさ」
そう言って、唇を舐め上げたかと思えば激しく指を抜き差しされて、下腹部から何かが迫り上がる感覚を感じた瞬間。
速度を上げて抜き差ししていた指が勢いよく引き抜かれた。
「ひぐッ、うぅぅッ!?」
深い所から浅い所、それに上壁やコリっと膨らんだ敏感な箇所全てを強く、指で刺激して引き抜かれた快感に、腰を浮かせてビクビクと痙攣させた。
絶頂しそうな所で寸止めされてしまい、彼の腕を強く爪で引っ掻いてぼやける視界の中で、抗議を向けるように彼を見た。
「まだだって言ったろ?一緒に気持ち良くなろうぜ」
私の視線に気づいたように、愛液で濡れる指をねっとりと見せ付けるように舐め上げた。
愛液を全て綺麗に舐め取ってすぐに、カチャカチャとズボンを下ろしたような音が聞こえ始める。
ピュッと何かが太ももに掛かったように思えて、荒い息遣いのまま、目を凝らして見ると、そこには飛び出すように勢いよくそそり立った陰茎があった。
赤黒く血管の浮き出た陰茎は、禍々しさすら感じる程凶悪なモノに見えた。
けれど物足りなさを感じていた膣内は彼を求めてヒクヒクと震えだし、早く中に挿入して貰うのを待っているようだ。
けれど彼はそれを一向に挿れることはなく、寧ろ自分で根元を擦り上げ始めた。
なんでと、切なげに彼を見つめると、困ったように笑った彼は、そのまま私の足を腰から離して、ベッドから降りたのだ。
戸惑うような視線を向けると、足に軽くキスをされて、腰を引き寄せられた。その瞬間。
彼の体が足の間に割り込んで、そそり立った陰茎を上下に激しく擦り上げながら、股に顔を埋め出したのだ。
「やッ、いやぁッ!それじゃ、なッ…な、かにほしいッ、ほ、しぃの…ッ!」
「だからまだだって言ったろ?お互い楽しめるからもう少しだけ待って」
優しく宥めるように言われ、涙がポロポロと溢れてしまった。
先程から絶頂を迎える寸前で堰き止められてしまい、体はもう既に限界を迎えていた。
股に顔を埋めた彼は、器用に陰茎を擦り上げつつ、愛液でドロドロになった膣に舌を伸ばしてきた。
入口をクンクンと舌先で啄くばかりで、絶頂を迎えそうなのに、腰がビクビクと痙攣し始めるとすぐに舌が離されるの繰り返しだ。
腰を浮かせて、強い刺激が欲しいのにくれないもどかしさに、涙を流して喘ぐことしかできなかった。
「んあ、ぁぁッ!!はや、くぅッ、なかぁッ、あぁんッ!ほし、ぃぃッ、んひッ、や、あぁッ!!」
ガクガクと痙攣する腰を押さえつけるように、腕で太ももを押さえ付けた時。
ぢゅううと強く秘豆を吸い上げられた。
もどかしい刺激ばかりだったのが、突然の強い刺激にとうとう、絶頂を迎えたと同時に、膣からは堪えきれない尿意が噴き出した。
透明な液体が、彼の顔や辺りを濡らしていく。
はひはひと、過呼吸じみた呼吸を繰り返し、背を仰け反らせてやっと訪れた快感に酔いしれていると、じゅぷぷっと強い衝撃と共に、ヌルつく膣内に陰茎が挿入された。
ガツガツと最初から激しく奥を突き上げられてしまい、頭を振り乱して、膣内から透明な体液を噴き出しながら悲鳴に近い喘ぎ声を漏らした。
「んやあぁッ、!や、あぁッ、いやぁッ!ひぐッ、う、んぅぅッ!や、だぁッ、あぁんッ!!」
「は…ッ、ホント君とのセックスは、ッ…ぁ…最高だよ…ッん…」
いつの間にか足を持ち上げられて、深々と挿入された陰茎に、自分が何を口走っているのか分からなかった。
ググッと強く腰を打ち付けてくる彼は、私に覆い被さってきて、腰だけを激しく振り乱して何度も愛おしげに髪を撫でてくれた。
頬や髪を撫でながら、額や頬、唇にキスをしてくれたのが堪らなかった。
これだから彼とのセックスは好きだった。
自分の欲求を最大まで満たしてくれる。
どのセフレよりも、彼とのセックスは最高に気持ちが良い。
荒い呼吸をしながら、徐々に腰を振り乱す速度が上がり、ビクンと陰茎の質量が増した時だ。
びゅるびゅると中で吐き出される感覚に、は、は、と整わない呼吸を吐き出していると、すぐにまた腰を打ち付けられて、体が魚のように跳ねた。
「ひ、ッ、ぅぅッ、まだ…するのッ…!?」
「んー…足りないよ、こんなんじゃ…」
物憂げに私を見つめて、数回腰をゆったりと打ち付けたかと思えば、次には子宮口目掛けて勢いを付けて突き上げられた。
耐えきれずに背を仰け反らせて、自分も最大に引き上げられた快感を体に感じながら、ビクンと痙攣して絶頂を迎えた。
きゅうっと中を強く締め付けて、首を横に振り乱しても、すぐに腰を激しく打ち付ける速度が上がり、快感よりもまた強い刺激が体に降り掛かるのかと想像し、恐怖心が湧き上がる。
彼の背中に必死にしがみついて、次々と波のように押し寄せてくる快感に抗う術もなく、彼に揺さぶられながらお互いの欲求を満たすのだった。
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