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マッチングアプリ

こんなにハマるなんて

2年付き合った彼にふられた。

『真面目過ぎてつまらない』

と言われたのだ。

でも私は知ってしまった。
彼に振られたホントの理由。

彼が友達に話しているのを聞いてしまったのだ。

『いい体してるのに、セックスに面白みがないんだよ。正直萎える』と。

***

私は、吉岡 りりあ。
OLとして働き始めて3年。
2年間付き合った彼と、1か月前に別れた。
優しくて包容力のある彼が、大好きだった。
高校生のころから、急に著しい成長を見せた私の体のせいで、学生の時は、同級生の男の子に言い寄られることがとても多かった。
でも結局、それは、いわゆる“ヤリもく”という分類の男子がほとんどだった。

今の会社に入って、ようやく“この人だ”って思える人に出会えたのだ。
彼は優しくて、紳士的な“大人の男”…。
だと思っていた、あの頃は…。
でも、やっぱり”ヤリもく”の男子と同じだった。

「趣味も一緒だったし、味の好みもあってたし、相性いいなぁって思ったんだけどな」

それに私は、彼との行為もほんとに気持ちよくて、最高に幸せだったのに…。
私って、そんなにエッチが下手なのかな?
それって、誰に聞いたらいいの…?

ある日の休日。
出歩く気にもなれなくて、寝転んでネットを徘徊する。

“セックス 楽しめない”
“セックス 相性”
“セックス 彼を夢中にさせる”

そんな文字をひたすら検索かけている。
あぁ私ったら、何を調べてるんだろうか…。

PCには、ぎりぎりのアダルトコンテンツが、点々とならんでいる。
派手な下着や、妙技、言葉責めや、男が喜ぶ魔法の言葉…。
欲求不満みたいで、急に恥ずかしくなった。
ふと画面の端にある、広告に目が留まる。
“出逢えます”と
男女が笑顔で向き合っている広告。

これって、マッチングアプリっていうやつ?

最近テレビのCMでもよく見るなーと思っていた。
今まで気にならなかったけど、
このような状況になり、なぜか興味が湧いてしまう。
好奇心が湧き上がる。

でもこういうのって、なんか怪しい。
それこそ、体の関係目的とか、詐欺とか… 。
でも、これって、あの有名な結婚情報サービスの会社が運営してるんだ。
とりあえず試しに登録だけでもしてみようかな?
まぁ、登録だけ…。

結構しっかりしてるんだなぁ。
こんな顧客管理してたら、変な人に引っ掛からなくて済むかもしれない。
自分の情報と、あとは相手の条件か…。
趣味や性格が合う人がいいな。
なんか、ありきたり…?とりあえず年上で、安定収入っと。

そうやって現実的な回答をして、マッチングするのをひたすら待つ。
何だろう、ちょっとわくわくしちゃっている自分に驚く。
翌日の昼休憩に携帯をチェックすると、さっそく何人か候補が来ていた。

なんか嬉しいな。私のことを気になってる人が、こんなにもいるんだ。

スクロールしてコメントを見る。

…!
この人、なんか素敵。
『たくさんおしゃべりできる女性を探しています』…か。
とりあえずDM送ってみよっと。
なんだか、楽しいな~。
学生の時みたいなときめきに、つい胸躍らせてしまう。

私が気になった人、それは、坂城 直人(さかき なおと)。
プロフィールには、イベントクリエーターと書かれていた。

何度かやり取りをして、実際に会うことになった。
何か月かぶりに、ワンピースに袖を通し、何度も鏡でチェックしてしまう。
ちょっとはしゃぎすぎかな?

あ、あの人かな?
待ち合わせ場所で、周りをきょろきょろしている人が見えた。
「あの、坂城さん…ですか?」
「あ、吉岡さん?」
「初めまして。」
んー。なんか写真で見るより、軽そうな印象。
「初めまして、予想よりかわいくて、驚いちゃったよ。」
とりあえずお茶して、散歩して、公園で休んだ。
そのあと夕食を食べて、帰りは最寄の駅まで送ってくれた。
久しぶりだなぁ。こういうプラトニックな感じ。
ちょっとチャラさはあるけど、ほんとに楽しくて、気が合った。

そして、私たちは何度かデートすることになった。
それでも彼は、一度たりとも、手を出してくることはなかった。
なんかちょっと、寂しいかな…、なんて思ってしまって。
そんな自分に正直驚いた。
マッチングアプリなんて言う、得体のしれない出会い。詐欺かもしれないのに…直人の魅力に、どんどん引かれてしまっていたのだ。

あるデートの日。
「会社の近くにおしゃれなバーができたんだけど、一緒に行ってくれない?」
と直人に誘われた。
今までのデートでお酒を飲むことはあったけれど、お酒がメインなのは初めてだった。
直人が連れて行ってくれたのは、とても雰囲気の良いお店だった。

「俺、よくしゃべるし、うるさいとか思ってない?」
お酒が進んできた頃、直人が聞いてきた。
「ううん。直人さんの話面白いし、すごく楽しいなって思ってる。うるさいだなんて…。」
「実はさ、前の彼女には、男のくせにうるさいって言われたことあってね。俺は二人でいっぱいおしゃべりしたかったんだけどね。」
年上とは思えない、無邪気な笑顔にドキッとしてしまった。
「りりあちゃんは、前の彼氏とどうして別れちゃったの?こんなにかわいくて、やさしいのに。」
直人のその言葉に、少しだけ、心がズキっと痛んだ。
「あ、ごめん、言いたくないならいいんだけど…」
「あ、ううん。私真面目で面白みがないって言われちゃって。」
「そんな、俺なんか、りりあちゃんと一緒にいるだけど楽しいし、癒されるのに。」
「ふふ…、直人さんがそんな怒らなくても。」
「あ、つ、つい…」
照れ笑いする直人。

「実は、それだけじゃないんだけど。」
お酒のせいか、感傷的になってしまった自分がいた。
つい独り言のようにつぶやいてしまったその言葉を、直人は聞き逃さなかったようだ。

「何かあったの?よかったら…きかせて?」
心配そうにしている彼の瞳が、やけに妖艶に見えて、少し戸惑った。
「えっと、あ、こんなこと、…」
到底、人に言えるような話じゃない。
なのになぜか、直人には話してもいいかなと思ってしまった。
直人は、そうさせるような人だ。
「その…体の相性が良くなかったみたいで。」
「え?」
「あ、やだ、こんな話ごめんなさい。」
「いや…」
マッチングアプリで知り合っただけの関係なのに、ついこんな話をしてしまい、ちょっと後悔する自分がいた。
いや、むしろマッチングアプリで出会ったうすい関係だから、話せたのかも…。
「…、うまくいかなかったの?」
「え?」
思いのほか、直人が真剣に聞いてくれて、りりあは驚く。
「その、例えば濡れないとか、勃たないとか?」
話題のせいか、直人は私の耳に近づいて、小声になる。
その言動に、なんだか、ドキドキしてしまう。
「いや、そうじゃないんだけど…」
「感じない?とか?」
直人から香る、お酒の匂いに酔いそうなほど、気付いたら距離が近くなっていた。
「…、か、体の割には、よくないって言われちゃって。」
片手で、胸を隠すようにして、そう伝える。
「あぁ、確かにりりあちゃんスタイルいいよね。」
「…」
「でもさ、セックスって、やっぱ気持ちが大事なんだよ。触れ合いたい、つながっていたい、もっと愛したいっていうさ。」
なんていいながら、直人は、にっこり笑って私を見る。
「愛してるの、その先にあるって俺は思うけどね。愛情表現の一つっていうかさ。」
そう語る直人の横顔に、私の鼓動はどんどん早くなっていく。
ヤダ、お酒のせい?
ううん、私直人さんのこと、好きなんだ、きっと。
「直人さんは…」
「ん?」
「直人さんは、私にそういう魅力感じますか?」
「え?」
「私、結構体目的でお付き合いされること多くて…」
「…」
「あ、あの、ごめんなさい…」
どうしよう、私。恥ずかしいこと聞いちゃった。取り返しのつかないこと聞いちゃったかな。
そう戸惑っていると、直人の手が、私の頬に優しく触れた。
「感じるよ。だって、俺、かなり、りりあちゃんのこと好きだし。」
「直人さん…」
「でも、今の話の流れから言ったら、いいの?俺がそういうこと思って?」
「…、直人さんなら…」
「ごめん、出ようかお店。」

お店を出て、少し歩くと、ホテル街についた。
直人は私の手を握って、黙々と歩いていく。
その中の一室へと入った。
「先にシャワー浴びてくる?それとも一緒に入る?」
「あ、あの、先にシャワー浴びてきます。」
浴室のすりガラスは、うっすら部屋の様子がうかがえるような作りだ。
ということは、向こうからも私のシルエットは見えているはず。
直人に見られてるかも、と思うと、私の体の隅々が反応してしまう。
どうかしてる…。
大きな姿見で、自分をチェックしてから、下着も何もつけずにローブを羽織る。
そして、直人もシャワーを浴びにいった。
心臓が壊れそうなほど、ドキドキしてしまう。
すぐにローブ姿の直人が、ベッドに戻ってくる。
ベッドに腰掛けると、横をポンポンと叩いて、
ソファーに座っていた私に、となりに来るように促した。
少し湿っている髪の毛と、首元。

「ほんとにいいの?」
その言葉に、こくりと頷いた。
「じゃ、ほんとに面白みのないものかどうか、俺、確かめちゃうからね?」
そういうと、私をそっと抱き寄せて、前髪をかき上げておでこにキスをした。
あぁ、それだけで、全身がしびれてしまう。
私、たまってたのかな?
ヤリもくだけは嫌なんて言いながら、こんなにも直人を求めてしまう。
正面に向き合うと、直人は確かめるように私を見つめてくる。
そして私が目を閉じるのを待って、唇をそっと重ねてくる。

「…ん…ふん…」
触れるだけのキス。
「やわらかい」
彼の柔らかい笑顔に、私にも暖かい気持ちが広がってくる。
「もっと、ちょうだい。」
そう言って、深く浅く、何度も唇を重ねてくる。
もう、唇から舌を伝って、口の中が甘く溶けそう。
こんなキス、初めてかも。
「もう少し、肌を見せてね。」
そう言って、ローブの襟元を肩からそっとおろす。
「ほんとだ、いい体。」
直人はそう言って、冗談っぽく微笑む。
鎖骨から、谷間に向けて、そっとなぞられて、ぴくッと体が跳ねる。
「うわ、感度もめっちゃいいじゃん。」
「…は、恥ずかしいよ…」
「いいよ、どんどん照れちゃって、そのほうがかわいいし。」

そう言って、今度は彼の舌が、鎖骨から胸までを優しくなぞっていく。
先端に触れないように、わざとじらしてくる。
それだけで、下半身に熱が集まってしまい、つい太ももをすり合わせてしまう。
「ふふ…マジでそそる。」
ローブをまくって、下腹部をなでられる。
「あ、あん…」
近づいてきた直人のローブもはだけて、胸板が見える。
触れたい…。
そう思った瞬間、つい手が動いていた。
その瞬間、バランスを崩して、直人がベッドに倒れこむ。
その上に私が覆いかぶさってしまう。

「あ、ごめんなさい。」
「りりあちゃん、積極的…」
ぐっと抱き寄せられて、私と直人の体は密着する。
はだけた彼の胸の体温と、鼓動が直接伝わってくる。
「やべぇ、りりあちゃんのおっぱいも柔らかい。」
肩口に吸い付いて、マークを残しながら、そんな風におちゃらける直人。
「触っていい?」
こくりと頷くと、ゆっくりじっくり、確かめるように揉んでくる。

「乳首こんなに立てちゃって、正直な体。もう、十分楽しませてくれてるんだけど。」
直人の余裕とは正反対に、私はどんどん余裕がなくなっていく。
あそこからはもう、みだらな液体が太ももを伝っているのがわかるほどだ。

ポタン…
「?!」
直人さんの太ももに垂れてしまった。
それに気づいた直人は、「え?もしかして…」と確かめるように、自分の太ももに落ちた雫を指でたどった。
「えっろ…」
そう言って、深いキスをくれる。
「これ、マジで夢中になっちゃうよ。ねぇ、ほんとそそられるんだけど。」
さっきまでの優しい感じから一変したように、カプッ、ッと乳首をかじられる。
「あ、あはん!」
電流が流れたみたいになって、のけぞってしまう。
直人は自分の太ももを、私の泉の湧き出るところに押し付けてきた。
「すげー、びしょびしょ、そんなに俺が欲しかったの?」
あまりの恥ずかしさに、勢いよく首を横に振る。
「嘘つき。」
そう言って胸にむしゃぶりつきながら、指で私の中心を探し出す。
すると、湧き出るそこにたどり着いて、ねちねちと指に愛液をまとわりつける。
何とも言えない卑猥な水音が部屋に反響する。
「りりあちゃん、めちゃくちゃ感じてる。嬉しい。」
「は、あん…ん」
もう喘ぎ声しか出ない。

つぎの瞬間、体が反転して、直人に組み敷かれる。
「りりあちゃんの、見て」
そう言って、私の雫がついた指を見せてくる。
恥ずかしくて、思わず目を背ける。
「はは…。りりあちゃんも感じてくれてるんだけどさ、俺もすごいんだよ。」
視線を外した先に、直人のたけりが見えた。

「ね?」
顔からは想像できないくらいのけだものが、そこにそそり立っているのが見えた。
「好きな人が、こんな反応してくれたら、俺だって嬉しくてこうなっちゃうよね。」
思わず、そっと触れてみる。
「ちょ…!」
焦って腰を引く直人。
その拍子に、私がさすってしまう形になった。
「…うっ!」
「あ、ごめんなさい。」
「ううん。でももう少し待って、りりあちゃんの中で、イキたいし。」
「…あ、」
「もう少し、りりあちゃん堪能したい。」
そういった直人はりりあの体中をなでまわし、舌を這わせていく。
「あぁ、直人さん、もう限界…」
もっとくっつきたい。そう思うと自然と腰が振れてしまう。
「ほ、ほんとだ…。かわいい腰。」
「…」
「なんて、…俺も限界。挿れるよ。」
私がうなずくのも待てずに、直人は私の入り口に膨れ上がったそれをあてがった。

「いくよ。」
そう言って、そっと私の中に埋もれてくる直人。
「……。はぁ。」
いっぱいいっぱいで苦しい。
でも、それが奥まで来た時、
「「はぁ…」」
二人同時に吐息がもれるほどの充足感を味わった。
「お願い。少し動かないで、そのまま抱きしめて?」
「いいよ…」

少しの間、つながったまま、抱きしめあった。
私の中で脈打つ直人のペニスを感じる。
幸せ…。

「ごめん、もう、…」
「うん…」
その言葉と同時に、激しく突き上げられる。
「あぁぁんっ!」
そのひと突きでイってしまったのに、
容赦なく突きつけられる肉棒と愛の言葉に、
再び快楽の波がやってくる。
「りりあ、りりあ、すげー絞めつけてくる、あぁ、超好き!もっと、もっと俺のものに…。」
壊れたように打ち付ける彼の腰の律動に合わせて、私の中からはしぶきのように雫が飛び散る。
「こんなにつながってるのに、もっとつながりたい。」
「な、直人…私も…。」
あぁ、気持ちいい。セックスってこんな感じるの?
今までも気持ちよかったけど、そんなの比じゃないくらい。
もう、何回目だろう。

上り詰めさせられ続けて、離れがたくなっていた。
それでも、終わりは来る。
「りりあ、俺もう出る…っ!」
こくこくとうなずくけど、果てるのが怖い。
より一層激しく突かれて、最奥に突き刺さった。
「…くっ!うっ!」
彼が果てて、私に覆いかぶさってきた。
私は離れたくなくて、彼の腰をホールドする。
「りりあ…、離れたくないの?」
「うん、少しだけ。」
ゴム越しに彼の熱が伝わってくる。
「はは、うれしい。」
しばらく無言で抱きしめあう。
彼の汗、筋肉、息遣い。
全部愛しい。

ようやく彼を手放して、私の中で暴れていたけだものが、ずるっと引き抜かれる。
「はは…、俺だしすぎ。」
照れ隠しなのか、直人はそう言って笑った。

すこし身体を整え、彼に腕枕をしてもらう。
おしゃべり好きの彼との、ピロートーク。
「…、あの。どうだった?」
りりあは、直人におそるおそる聞いてみる。
「ん?」
「その、私のセ、セックス。」
「えぇ、それ聴く?」
「…!」
「こんな満足感出してるのに。」
なんて、また、いたずらに笑う。
「またしたいって思うよって言ったら伝わる?」
彼の視線に、私は満面の笑顔でうなずく。
私も、心からそう思える。
「今度は正式に恋人として、つながりたい。」
そう言ってくれた彼に「よ、よろしくお願いします。」と恥ずかしさと嬉しさが混同し、顔をうずめた。
あんなにいやだと思っていたセックスのつながりも、直人となら、たくさんしたいな。

マッチングアプリでの、軽い気持ちでの出会いだったけど、彼にも、セックスにも、こんなにはまるなんて、ね。

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