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彼女の弟が彼女よりも可愛い件
「ちょ、ちょっと一回落ち着こうよ……」
俺を押し倒し、その上に跨りながら、おかしそうに口の端を上げる……彼女にそっくりな相手に、声をかける。
「えぇー?もうこんなになってるのに?」
クスクスと笑いながら、俺の中心で、反り返るペニスを、指先でもてあそんでいる。
「うぅ」
情けない声をあげ、俺は簡素なソファの端を掴んだ。
「だって、姉ちゃんまださせてくれてないでしょ?」
「どうして、それを……」
「だって僕たちは双子だもん。僕と姉ちゃんの間に隠し事はなし。そうだなぁー3日前にようやくキスし
たでしょ?フッツーの。でも本当はさぁ……」
そういって、俺に跨る彼女にそっくりな男は、俺の頬を思い切りつかむと噛みつくように唇を重ねた。
「ふぐっ……」
ねっとりと柔らかく感じたことのないぬくもりが、口腔内に不躾に侵入してくる。
「んぅ……」
甘い声を漏らしながら、幾度も幾度も俺の舌に自分のそれを絡めながら、男は器用に、自分の衣服を着々と脱ぎだす。
(なんで……こんなことになったんだっけ?)
与えられる快楽にぼやける頭をフル回転させて、ことの発端を思い出そうとする。
***
「これ、知ってると思うけど。私の双子の弟。ミサオ」
「どうもーねぇちゃんの弟でーす!よろしくね義兄さん!」
顔はそっくりなのに、テンションがここまで違うとは。なんて、妙に感慨深い印象を受けたのを今でもはっきり覚えている。
「へぇーそっくりだな。やっぱり。」
「似てない。」
「うわー嬉しい!」
両極端のリアクションに、俺は何の不安もなく笑って……
「ちょっと、まだねぇちゃんに申し訳ないとか思ってんの?」
プアッと銀糸を伸ばしながら唇を離すと、操は不貞腐れながら俺の頬をつねった。
「いや、ちが……」
そうだ。と言えばいいのに、俺は馬鹿正直に首を振ってしまう。その反応に満足したのか、操はにんまり笑うと、半分脱ぎかけのシャツをそのまま引きちぎるように脱ぐと、俺の目の上に押し付けた。
「んーじゃあいいや!僕が姉ちゃんの代わりにちゃーんと癒してあげるから安心して。」
そう言いながら、操はズルズルと俺の上を移動し、足の間に器用に座り込むと、俺のペニスを両手で包み込んだ。
「んっう……」
「ふふっ、義兄さん可愛いなぁ、もしかして童貞?」
「だから、義兄じゃな……うあっ」
みっともない声が漏れる。俺は羞恥で気が狂いそうになりながら、操が投げつけた彼のシャツに顔をうずめた。
「姉ちゃんはさぁーこういうことしてくれないでしょ?何回断られた?」
「っぐ、し、しらなっ……」
「ふーん」
そう返事をしながら、操は俺のペニスにフゥーと息を吹きかける。
その生暖かい風に、ゾワゾワと背筋が震え、無意識に腰があがってしまう。
「あー義兄さんネコもいけそうだけど……今日は僕、めちゃくちゃ掘られたい気分なんだよね。」
だから今度ね、と言いながら、操はそのままパクッと俺のペニスを先端から咥えた。
「っああ……」
聞いたことない声が、俺の喉から零れ先ほどよりも大きく腰が浮く。
知識だけで知っていたフェラチオを実際にやられて、本来なら感動でむせび泣くところだろうが、今は状況が違う。
「んぐっ……ふふ、義兄さんおっきぃ……こんなの姉ちゃんのナカ絶対入らないよ。」
「っ、み、操くん……やめようよ、こんな……ぅあっ!」
裏筋を器用に舐め上げられた俺は、また感じたことのない快感に無防備に声をあげてしまう。
「どうして?義兄さんからすっごい美味しい汁が沢山出てきてるのに?」
ジュルジュルと音を立てながら、ペニスを根本から吸われた俺は、またみっともない声を出してしまう。
「あーもうだめ、やっぱり一回イれさせて。」
ぷあっと俺のペニスから口を離すと、操は四つん這いのまま、俺の上を移動した。そして、片腕で自分の身体を支えると、空いた方の手で俺のペニスを掴んだのだ。
「お、おい!」
これ以上はなんだかヤバいことになると俺の本能が叫び、上半身を起こそうとするが、それを器用に操が制止する。
「別に、なんの心配もいらないって。気持ちいいだけだからさ。」
そう耳元で操の声が響いたと思うと、次の瞬間。俺のペニスは今まで感じたことのない、異次元のぬくもりと快感に包まれた。
「んっぁああっ!!」
俺の上で操の淫らな声が響く。
「んっ……やっぱ最高……思った通り。」
フフッと笑いながら、俺の上でゆっくりと腰を動かす操の声がいじらしく、俺は興味本位でその表情を見ようと、顔にかかっているシャツを外そうとする。
「ダメ!」
しかし、その行為はあっけなく操に止められてしまった。
「おい!」
そして俺の声をふさぐように、さらにシャツを押し付けてきた。
「いいよ、別に。ねぇちゃんのこと考えてなよ。」
気持ちいいのは一緒だから、多分。知らんけど。と操は独り言のように続ける。
いいよ、別に。
その言葉、前もどこかで……
(あぁそうだ)
操のくぐもった嬌声をききながら、俺はあの日のことを思い出した。
***
「じゃ、私研究室いくから」
「おう、またな」
彼女の背中が見えなくなるまで見送ると、俺はそのままバイトに向かうため校門を目指す。
(ん?なんだあそこ……)
校門の近く、ちょうどどこからでも死角になるところで、複数の男が誰かを取り囲んでいるのが見えた。嫌な予感がする……とこっそりその集団に近づく。
「なぁ、別にいいだろ?」
「誰だって相手するって聞いたぜ?」
「やだよ。そんな汚そうなチンコ。触りたくもないし。」
「んだと、テメ……」
会話を盗み聞きしていると、突然男の一人がこぶしを空高くあげたため、俺は咄嗟にそいつを羽交い絞めにした。
「おい、いい加減にしろよ。」
「えっ?」
「いて、いてええ!!!」
ギリギリと腕を捻りあげられ、情けない声をあげる仲間にビビッたのか、取り囲んでいた男たちは短く舌打ちをしながら、散り散りに逃げていく。
「お前もアホなことやってんじゃねーよ。ここは勉強しにくるとこだぞ。」
「くそっ、う、うるせぇな!!」
捻りあげた腕を放ると、男は掴まれた箇所を抑えながらヨロヨロと逃げていった。
「だいじょ……って、あれ?操くん?」
「やっほーお義兄さん!ありがとね、あいつらしつこくて困ってたんだよねー」
さっきまで脅迫まがいのことをされていたにも関わらず、涼しい顔をしている操に、俺は何故か腹を立ててその両肩を掴んだ。
「だめじゃないか!」
「へ?」
彼女にそっくりな瞳で見つめられ、思わず可愛い…なんて頭の隅で、そう思ってしまった。しかし、違う違う!と大きく頭を振って思考を変える。
「あんな奴らと付き合ってたら……もっと自分を大事にしないと!姉さんだって悲しむぞ。」
それまでヘラヘラ笑っていた操の顔が『姉さん』というワードで一瞬陰った。
「いいよ、別に。」
「うん?」
「なんでも!それよりさ、お義兄さんはどうしたの?帰り?」
「あ、いや……これから、バイトだけど。」
「えーどこどこ?」
「駅前の、トロール。」
「え!僕あそこ大好き!ねぇ行っていい?」
「別に、いいけど……」
「やったあ!あーー僕が義兄さんの彼女だったらなぁー!毎日寄れるのに!」
「あんなとこ。別に理由なくても毎日行けるだろ……」
何やらはぐらかされた気がしないでもないが、嬉しそうに俺の周りを飛び跳ねる操に、俺はまあいいかという思いで、一緒にバイト先へと向かった。
***
(あぁ、そうだ……あの時と同じだ)
そんなことを思い出していると、操の動きが止まった。
「?」
「僕……うるさかった?」
「は?」
「お義兄さん、あんまり気持ちよさそうじゃないから。」
「え、あ……いや、そんな……」
正直めちゃくちゃ気持ち良い。しかし、それを肯定して良いものなのか迷い、一瞬言い淀む。
「ごめんね、僕黙るから。そしたら僕と姉ちゃん体重も背丈も同じだから。ちょっとは姉ちゃんだと思えるし。胸、ないけど……姉ちゃんも貧乳だから」
そう言いながら、おずおずと自分の胸に手を這わせる操の指先は、かすかに震えているのがわかった。なぜかその震えに、胸の奥がキュウと締め付けられる。
「ごめんね、義兄さん。先にイかせて。そしたらちゃんとご奉仕するから。」
そういいながら、操はまた、腰のグラインドを激しくさせる。
「んっ、んっ……でも、んっ、義兄さん。これだけは……覚えておいて。んっ、前に義兄さんにいった、僕が義兄さんの彼女だったらって……んあっ、んあっ、あれ、あれ……本心だからね」
ごめんね。と続ける声に、俺の胸の奥で何かがはじけ飛ぶ音が聞こえた。その言葉を聞いた俺は、操の腕をグッと引き寄せると、そのまま状態を起こし、今度は操を押し倒したのだ。
「えっ……」
「今は姉ちゃんは関係ねぇだろ。」
「え、でも……」
「本気で嫌なら、とっくにコイツは押し黙ってる。」
そういいながら、俺はクイッと繋がったままのペニスで、操の奥を叩く。
「んあっ!」
自然と零れる嬌声に、俺は気をよくすると、そのまま操の太ももを大きく抱え上げ、思い切り腰を打ち付けた。
「ひっあ……ふか、ふかぃ…んっ、んっ、ああっ!!」
「っく……キツ…」
最奥を突くたびに、操のナカが締まっていき、俺自身を離すまいと、その襞がぴったりとまとわりつく。
「ああっ、あっ……ん、きもち……イぃ…声、とまんな……」
「止めなくていい」
一定の律動で抽挿を繰り返し、その度に卑猥な水音が響き渡る。
「あっ、でも……でも…」
言葉にならない言葉をつむぎながら、イヤイヤとでもいうように頭をふる操の唇に、今度は俺から噛みついてみた。
「ふぐっ……んっ、ぅう」
ガチン!と先に歯が当たるが、すぐに開かれ、俺は誘われるようにその口腔内に舌を侵入させた。綺麗な歯列をなぞり、そのまま舌を絡める。
「んっ、ぅ……んんんっ!!んっ!」
ジュッと吸い上げると、快感のあまり操が思い切りのけぞり、チュルンと音をたてて、唇が離れてしまう。
「ダメ、きちゃう、きちゃうよぉ……あああっ、イく、いく……イッちゃ……ああああああっ!!!!」
乱れた声を上げながら、操は弓なりに背中をしならせると、そのまま自身のこぶりなペニスから、白濁の液を散らしたのだ。
「ッ……しまる…やべ。」
「出して……そのまま。」
ハァハァと胸で呼吸を繰り返しながら、うわごとのように操が告げる。
「でも……」
しかし、言葉とは裏腹に、俺のペニスは理性を失い、解放を求め腰を打ち付け続けさせるのだ。
「んっ、おねが……気持ちよく、なって。」
そう言いながら操はゆるゆると、俺の腰に足を絡めてくる。
「じゅ、十分気持ちいっての……っく、出る!!」
その仕草に最後の一押しをされたように、俺はそのまま操のナカに全てを吐き出してしまった。
「やっちまった……」
賢者タイムに入り、俺は呆然と天井を見上げながら、そう呟く。
「でも、気持ちよかったんでしょ?」
またいつでも相手してあげるからね!と付け加え、操は俺の頬に軽くキスをした。
「僕もとっても気持ちよかった!ありがとね、賢人!」
「!!」
そう言って操をいたずらっぽく笑うと、サッ!と立ち上がり、しわくちゃになったシャツを簡単に羽織る。
「じゃ、僕シャワー浴びて先に出るねー!」
すたすたと去っていく背中を、俺はぽかんと口を開けたまま見届けることしかできなかった。
『ありがとね、賢人!』
「名前、初めて呼ばれたな…」
知っていたのか。と妙な感情が襲う。そしてまた、脳裏に、先ほどのいたずらっぽい笑顔が浮かんでくる。正直ちょっと……
いやいやいや!と俺は大きく頭を横に振る。
彼女の弟が彼女より可愛い件……そんなわけがない。
そして、俺は、下半身に目をやる。
そこにはしっかりと起立した俺のジュニアが、ドヤ顔をしてそそり立っていた。
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