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痴漢

忍び寄る指にイかされて

はぁ。

いつもより混雑する休日の電車。

何よりも休日モードの周りの空気と、スーツ姿の自分を見比べてしまって、ネガティブな気持ちに拍車がかかってしまう。

私は村瀬香奈(むらせかな)。

そこそこ名の知れた企業で、販売の仕事をしている。

土日休みの一般企業勤めの私が、土曜日のアフター5に電車に乗る羽目になったのは、クライアントからの急な要望で、打ち合わせが入ったからだ。

彼氏のいない私は特に予定はなかったものの、今日はネイルでも行ってのんびり過ごそうと思っていたのに。

少し季節外れだなと感じるカラーのネイルを眺めていると、電車がホームに入ってきた。

うわ…。思ったより混んでるかも。

多少降りる人はいたものの、車内の乗車率はかなりのものだ。

中にはスーツ姿の人もポツリポツリ見えて、同志を見つけたような気持ちで少し嬉しくなる。

乗り込んですぐの手すりにつかまり、ドアのほうに身体を向けた。

少しでも気分を上げるために、せめて外の景色を見ながら電車に乗りたい。

…電車が発車すると、すぐにおしりに違和感を感じた。

あれ?後ろの人のカバンが当たってるかな?

ちらっと視線だけ動かすと、横には後ろ向きの女性が見えた。

その女の人の横に、スーツ姿の人が見える。

もしかしてこの男(ひと)の荷物かな?

私の目線ではネクタイが見えるくらいだから、どんな人かわからないけど若そうではある。

そう思って少し下に視線を落とす。

でもその人のバックは、私と女の人の間にあるみたい。

じゃぁ、この感覚って何?

左手が当たってるのかな?

そう思って今度は反対の左側に視線を移す。

でも彼は私の右後ろ側に近い感じで立っていて、左手は見えなかった。

でもつり革とか握ってなさそう…。

そこで私は、何となく思ってしまう。

もしかして、当たってるんじゃなくて”触られてる”?

でも勘違いかもしれないし…。

迷っているうちにその”手”だと思われる感触は、はっきりとその意思を表してきた。

私のおしりの丸みをなでるように、”触って”いるのだ。

痴漢だ。

そう思っても、いざこういう時って声を出せない。

最悪。

重い気分がさらに重くなった。

「コホン!」

ちょっとわざとらしく咳払いをしてみる。

しかし、その手は、私のおしりを触り続けた。

仕方ないので少し身体をずらそうとした。

揺れに合わせてむきを変えようとしたら—。

するっ!

“手”も私の動きが予想できなかったのか、そのままおしりの割れ目に触れた。

「…っ!」

小さく声が出てしまう。

電車の音や乗客の話声に、私の声はかき消された。

周りを見渡すと、イヤホンやヘッドホンをしている人がほとんどで、安心してしまう自分がいた。

「…ふ。」

背後からそんな小さな笑い声のようなものが聞こえて、首筋に軽く息がかかった。

その感覚に少しゾクッとしてしまう。

ヤダ、ダメだよ。

ここ電車のなかだし、相手が誰かもわからないのに感じてるとか…。

嘘でしょ?

自分で自分に問いかけた。

でもそんな私に、さらに拍車をかけるように“手”はむにっと私のおしりをつかんでくる。

「はぁ…っ。」

ダメダメダメダメ。

私疲れてるのかな。

それともスリルのあることに対する、吊り橋効果的な?

「…ふふ。」

後ろから聞こえる笑い声も、私の反応がわかってるみたいだ。

“手”はさすったり揉んだりを繰り返している。

『つぎは○○駅~』

やがて一つ目の停車駅につき反対側のドアから何人か降りて、また乗り込んできたのがわかる。

さらに私たちは密着してしまう…。

その間もずっとおしりを触られている。

列車が発車してすぐ。

ごそごそ…。

何やら手がもぞもぞと妙な動きをする。

もう終わりか…。

!私何残念がってるの?

痴漢なんてされないほうがいいに決まってる。

残念がるなんて、私どうかしてる…!

そう思ってほっとしたのもつかの間。

!!

さっきよりもはっきりと手の感触を感じる。

これってもしかして!

少し視線を下に向けて密着した人と人の間から見えたのは、少し短くなったスカートだった。

スカートまくられて下着の上から触られてる。

そう分かったら、急に恥ずかしさと焦りが押し寄せてきた。

だって、こんなに人がいるのに…もし気づかれたらどうしよう。

悪いのは痴漢だけど、何も言わずに触らせてるのは私。

しかも、何ならちょっと感じちゃってる…。

周りの視線が気になって見回したが、みんな自分たちのことに集中していて、私たちのことは気になってないようだ。

…安心したその瞬間。

ぬる…。

「…!」

彼の指が私の足の間に入ってきた。

「…うわ」

小さな声が出てしまう。

恥ずかしさで顔が熱くなった。

自分でもわかってる…私のソコは濡れている。

「クク…感じてたの?」

笑い声交じりに小さい声でそうささやかれた。

耳にかかる息が悩ましい。

声からしてやっぱり若そう。

「いいね。販売2課の村瀬香奈さん。」

「…え!?」

名前を呼ばれて焦って振りむこうとすると…

「しぃ!そのまま普通にしてないと。」

そう囁かれた。

「誰も俺らのこと気にしてないから。」

そう言って、誰なのかもわからないその人は、私のアソコを下着の上からそっと指でなぞり始めた。

あぁ、これはまずいよね?

「あの、さすがにこれは…。」

おしりを撫でられてるだけとは違う。

誰かに気付かれたらどうしよう?

それに…、それに私を知っているらしいこの人に、私のこんな姿を知られてしまうのも怖かった。

「大丈夫。静かにしててね。」

私のそんな戸惑いを無視して彼は指をあちこちに動かす。

どうしよう、どうしよう、どうしよう?

やめてほしい?

いやでも…。

「どんどんあふれてくる…」

小さな声でそうささやかれなくても、自分の身体がどうなってるかもわかってる。

満員電車でたくさん人がいる中で、誰なのかもわからない男に触られているという状況が、私に快楽を与えてしまっているのだ。

もしかして、私って変態なのかな?

彼の指は下着のラインやクロッチを行ったり来たりしている。

太ももの内側をなでたり、またおしりのふくらみをもんだり。

電車の揺れも相まってたまらなく、気持ちいい。

『つぎは△△駅~』

しまった。次はこっちのドアが開く。

焦っている私とは裏腹に、彼の手は冷静に少し私のスカートのすそを下にずらしてくれる。

降りる人と乗る人はいたけど、誰も私の異変には気づいていないようだ。

しかし、あいたドアから入ってきた風に、股間が刺激される。

濡れているからか、なんか気持ち悪い。

そして列車が発車すると、また指は動き始めた。

今度は下着とストッキングの中に手を入れようとしてくる。

「…だ、ダメ…」

小さく抵抗するけどおしりの割れ目に沿って指は私の泉を探している。

もう、声出ちゃいそう。

うつむいてぐっと耐える。

太ももをすり合わせようとすると、彼の指をあそこで挟んでしまう。

「…ふっ、積極的。」

そうささやかれ慌てて力を抜く。

すると割れ目から抜かれた手は、そのまま腰をたどって前に回ってきた。

え?前から?

戸惑っていると下着の中に滑り込まれた手は、私の陰毛をさわさわともてあそぶ。

恥丘にわずかに触れられると、腰がわずかに揺れてしまう。

「ダメ、じっとして。」

「毛もびしょびしょ。」

そんなこと言われたら、心臓はねちゃう。

彼の指が恥丘からクリトリスの間をすりすりする。

私は必死に唇をかみ、その快感に耐えた。

じわーッと下着に熱い何かがあふれてシミを作るのがわかる。

手すりを強く握って足を踏ん張った。

「ふふ…いい表情。」

そう言われてドアを見る。

時折映る私の顔—。

あぁ、ダメじゃん。

周りに気づかれちゃう。

でももう半分思考力がなくなってる。

それでも残っている理性を頑張って保つ。

「アソコ…、ひくひくしてるよ。」

周りの人には聞こえてない。そう分かっていてもドキドキしてしまうのだ。

他のことを考えなきゃ。

何とかしてこの湧き上がってくる快感を逃がさないと、ほんとにやばい。

こんなとこで感じちゃダメなのに…。

執拗に恥骨を刺激してくるその指に、神経が集中してしまう。

自然と息が荒くなってしまう。

…すると突然彼の手は私の下腹部を優しくなで始めた。

暖かくて優しい感覚。

気持ちいいところを刺激されなくなったことで、ほっとしている自分がいた。

同時に周りを見て冷静になり、ちょっと恥ずかしい気持ちがこみ上げる…。

しばらく彼の手は私の下腹部だけを優しくなでる。

あぁ、このまま終わってくれたら。

降りる駅まであと二駅。

何とか理性を保てるかも…。

そう思っていたのに…。

大きく電車が揺れて彼の身体も後ろから押されたのか、お互いの腰がぴったりくっつく。

あれ?

腰のあたりに固い何かが押し付けられる。

ちょっと間があいてすぐにわかる。

あ—。

痴漢のペニス—。

そう思って視線を後ろに向けると、彼の口元が見えた。

にやっと笑っている。

やっと収まった身体の熱がまた湧き上がってくる。

それに気づいたのか、彼の手がまたおしりの方へとすべっていく。

あぁ、またクリトリスを指がかすめていく。

くすぶっていた私の身体はすぐに燃え始め、惜しげもなく彼の指に蜜を溢れさせた。

そっか。私、物足りなくて、触ってほしかったんだ。

そう自覚してしまった途端、彼の与える刺激に素直になってしまっていた。

もしかしたら水音が聞こえてしまうかも。

でも、そんなのどうでもいい。

そのくらい気持ちいい。

それでも唇をかみしめて、声をこらえて平静を装う。

首筋にかかる彼の息遣いも、心なしか荒くなっているような気がした。

もっと…もっと欲しい。

そう思った時—

「…っ!」

ぬぷっ!

彼の指が私の中に入ってきた。

見えはしないが、感覚でよく分かった。

細くて長い指…。

入り口をなぞって私の中を確かめながら、奥へ奥へと進んでくる。

はぁ…。

ゆっくり息を吐き、彼の感触を中で確かめた。

最奥までくわえた私に満足そうな彼の吐息が聞こえてくる。

ゆっくりと出したり入れたりを繰り返す。

ドアぎりぎりに私を押し付け、今にも崩れ落ちそうになる体勢を支えてくれている。

電車は次の停車駅に着き、反対側のドアから人の出入りを感じる。

それでも私たちの秘密の行為は続く。

声も出さず腰もふらず、キスもしない。

ただひたすらお互いの感覚を確かめ合う。

「もう…」

次の駅で降りると伝えようとしたら遮ってきた。

「知ってる。」

そう言った後指は、最奥のいいところをぐりぐりと刺激する。

あぁ、もうイキたい。

でも電車(ここ)でイっていいの?

最初はそう考えていたものの、あまりの快感に、そんなことは考えられなくなっていた。

長い指か壁をさすり、いいところを攻め立ててくる。

「だせよ。」

そんな小さなささやきに、導かれるように私はそっと身体を震わせて果ててしまった。

「…はぁ…」

「…ふふ。」

彼から満足そうな笑いがもれる。

『つぎは□□駅~』

まだ力の入らない足。

彼がそっとスカートを直してくれているのがわかる。

ちらりと後ろを見ると、ポケットからミニタオルを出して、彼の手についた私の愛液をそっとふき取っているのが見えた。

電車が駅について、ドアが開く。

「ごちそうさま。」

そんな声が耳元で聞こえて、私は電車の外へと、人並と共に押し出された。

振り返ると、さっきまで私の中をもてあそんでいた男の顔が見える。

彼はポケットを指差した。

そのいやらしい笑顔を乗せたまま、電車は発車する。

電車を見送った後、私は自分のスーツのポケットに手を入れた。

すると一枚の名刺が出てきて、こう書いてあった。

『人事課 吉本 優介』

濡れてしまった下着とまだけだるい下半身の感覚。

「よしもと ゆうすけ…」

その名前を口にした瞬間、私の身体はあの指の感覚を思い出し、うずいてしまった。

あぁ、月曜日が待ち遠しい…。

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このは

このはです。素人ですが、どうぞよろしくお願いします。

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