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不倫

この愛は遺伝子レベルだから。

私には、結婚している双子の姉がいる。

姉の名前はユカリ。ユカリは、内気な私と違って、元気いっぱいの明るいタイプだ。相手の男もスポーツマンのような、元気いっぱいの人だった。

元気いっぱいといっても、中身は陰湿な奴だと私は思っている。……双子の妹の私に、手を出そうとしてきたのだから。

私は昔からユカリのことが好きだった。それは今も変わらない。これからもずっと好きだろう。……だからこそ、私から大切な片割れを奪って、しかも、私を性欲のはけ口に使おうとしたあの男は、絶対に許せない。

周りに訴えても勘違いだのなんだの言われるだけだし、なによりユカリにショックを与えて傷つけるのだけは、嫌だった。

「カオリちゃん、ちょっといい?」

こうやって、この男にちゃん付けで呼ばれる度に、寒気がする。どうしても、ユカリや両親に全てをバラしてやりたい。でも、ユカリが傷つかないようにと意識したら、なにもできなくなる…。悔しいけど、諦めるしかないのだろうか。

「なんですか、ショウジさん。」
「ショウジでいいだろ……いろいろヤった仲じゃないか」

……そう、私とこの男、ショウジは何度かセックスをしている。 最初は合意のない強姦、相手は、私を泥酔させて襲ってきたのだ。その時の私は処女で、男はみんな卑怯で卑劣という印象しかない初めてだったけど、痛みとか苦しみは、不思議となかった。

でも…ユカリのことを思うと、もうショウジとはセックスをしたくない。

「……もう嫌です!」
「嫌じゃない、イイんだろ?……俺はわかってるんだぞ。」

出会い頭でごそごそとパンティをずらして、私の下半身をまさぐる性欲猿に辟易しつつ…結局今日も、私は相手をしてしまうのだった。

ショウジは本当に性欲が強いらしい。なんといっても、ユカリでは飽き足らず、双子の妹の私にも手を出すくらいだ。脳みそがセックスの一言でいっぱいなんじゃないか、と呆れる。

ユカリほどの女性を相手にしてるくせに、まだ足りないのかと苛立ちと不満を抱いてしまうが、大きいわりにすんなり入ってくる男根は、身体を重ねる毎に気に入ってしまうのだった。そんなつもりじゃなかったのに。

……他の男性もこれくらい大きくて、こんな風にすんなり入るのだろうか?

「なにぼんやりしてるの?」
「……早く終わらせてください。」

言葉に従って服を脱ぐと、ショウジは笑いながら、私の胸がユカリより小さいだのなんだの言ってくる。

悔しいけれど、私とユカリでは胸の大きさが違う。ユカリは豊満なバストをしているけれど、私はそんなに大きくない。こんなところでそんな大きさの差を感じたくないのだけど、一緒の大きさだったらよかったのに、と何度も思っていたコンプレックスを刺激されるのは、とても気分が悪い。

ムッとした表情を察したのか、ショウジは謝ってきたが、その程度の謝りで許せるほどのものではなかった。私自身、片割れに似ない片割れほど、悲惨なものはないと思っているからだ。

瓜二つでありたいのに、成長期を迎えた私とユカリは、体格に差が出てしまった。ユカリはバストもヒップも大きく育ち、私はその逆に育った。そのせいで「双子なのに似てない」と屈辱的な事を言われたこともあった。

「俺大きいおっぱいより、小さい方が好きなんだよね。」

お前の好みなんて知るか!と言えたらよかったのに。私は、ショウジさんに弱みを握られているので抵抗できなかった。

ショウジに握られている私の弱み…それは、姉のユカリを本気で愛していることだ。その程度で弱みを握られたというのか、と思われるだろうけど、私がユカリのことを本気で愛しているから、余計に抵抗できないのが悔しい。

……いや、シラを切れば問題ないのだろうけど、ユカリに嘘は通じないから難しいのだ。

「ココのジャングルキツマンは濡らしてるくせに、考え事?」
「……早く。」
「挿れてほしいって?せっかちだなカオリちゃんは。」

こういう有害な男ぶってる男は苦手だ。自分が優位に立てればいいと思い込んでいるこの男の、伸びた鼻をへし折ってやりたい。

それでも、あまり処理をしないせいで、ぼさぼさに生えたアンダーヘアをかき分けた先にある、初めての性行為でめちゃくちゃにされた膣は、ぐっしょりと濡れていた。

……早くあの肉棒で犯されたいということを主張しているようだ。この辱めを早く終わらせるためにも、早くシて、とねだることしかできない。

「今日はやけに素直だなぁ、そんなに犯されたいの?」
「っこんな場所でシようなんて、おかしいでしょ……!!」

ここは、ユカリとショウジが普段一緒に寝ているベッドの上。2人がセックスしている場所でもある。なんでそんなことがわかるのかって、ショウジが自らここでユカリとセックスしていると言っていたからだ。

そんなベッドで不倫セックスだなんて、嫌だと抗議したこともある。でも、その時に私の長年隠してきた秘密を暴露するなんて脅されたら、従うしかない。ぐちゃぐちゃにかき回された腟内に、コンドームを付けた男根が無理やり侵入してくる様は、ひどい強姦だと言ってやりたいくらいだけど、我慢するしかなかった。

「っく、ぅ、う、う……!!」
「声我慢するなよ、萎えるだろ。」

自分勝手な物言いも、ユカリを愛しているはずなのに、私を抱こうとするその精神も、大嫌いなはずなのに……なぜ私はショウジを心の内から受け入れようとしているのだろうか?

悔しいけど、この男根から与えられる快楽と、彼自身のテクニックには、私は勝てる気がしない。

私が男なら、絶対に私のことなんか相手にもしないだろう。

「あ、ぁ、っ……っく、ぅう……!!」
「キツマンもっと締めろよ、最近まで処女だったカ・オ・リちゃん」

楽しげな声がまた憎たらしいはずなのに、胸がきゅんと疼くのはなんでなんだ。……私の長年の恋心に嘘なんてつきたくないから、惹かれてるなんて思いたくない。

それでもユカリの夫に恋をして不倫セックスしてるのは、本当のことだ。このことがユカリにバレてしまったら、すべてが終わる。

「お、今日はよく締まるじゃん……ユカリにバレたらどうしよう~、とか考えてる?」
「……!!」
「大丈夫だって、っむしろバレても、俺が気持ちいいだけだし……バラしちゃう?」
「ぜ、ったいに、や、だぁっ……!!」
私の気持ちも、この関係も……ユカリにだけはバレたくない。

**

私には、双子の妹がいる。

それはもう目に入れても痛くないくらい可愛がっている、とても可愛い内気な妹が。

その子の名前はカオリ。独身だ。カオリが私のことを愛しているように、私もカオリのことを愛している。

もし私がカオリの双子の姉ではなかったら、きっとすぐに告白している。そして、付き合って、抱いて、子どもを産ませて逃げられないようにしていたのだろう。……けど、私は女だからそんなことはできない。

昔から私の好きなものはカオリも好きで、私の嫌いなものはカオリも嫌いだった。

カオリの次に好きな男性……ショウジを見繕って、カオリに接触させた。ショウジは元々私のような明るいタイプより、内気なカオリのようなタイプが好みらしく、結婚するにあたってふたつの条件を取り付けた。

ひとつは私とはセックスをしないこと。もうひとつはカオリにこのことを気付かせないこと。

このふたつを叶えたら、私とセックスしてやってもいいと言ってやった。そんな簡単なことでいいのかとショウジは笑っていたけれど、カオリはすぐに気付いてしまうだろう。

だからこそ、カオリにこの不倫もどきも、私の気持ち自体も、気付かれてはいけない。

「ただいまぁー」

気の抜けた声で、わざとカオリとショウジがセックスしてる時間帯に帰ってみたり、お互いの刺激をし合うことで、不倫セックスに火をつけようとした。

……問題は、カオリが本気で私のことを愛していたことだろうか。ショウジとのセックスは嫌々やっているらしい。まさか、私の妥協した相手がカオリの好みじゃないなんて、思春期の体格の変化以来の分断に、焦っている。

ショウジはカオリの苦手なタイプだったのか、と反省しつつ、順風満帆な結婚生活であることをアピールしていく。

「カオリ、最近ショウジと仲悪そうにしてるけど……」
「なんでもないよ、ユカリ……ちょっとテンションについていけないだけ。」

ああ、ここでぎゅっとカオリを抱きしめてキスができたら、どれだけよかったか、なんて考えてしまう。カオリのいじらしい可愛さが全面に出ていて、こんなに可愛い双子の妹に、なぜ悪い虫がたからないのかが不思議なくらいだ。私が表立って守るのにも、限界があるからいいのだけど、世の中の人々は見る目がない。

「……ユカリ?どうしたの?」
「ううん、なんでもないよ。」

この愛は遺伝子レベル、だから私はカオリのすべてを独占したい。盗聴器越しのカオリの喘ぎ声だって、私のものだ。

『あ、ぁ、ぁっ!っんぅ、んぁっ!!』

イヤホンから聞こえるカオリの喘ぎ声は最高だ。可愛いしなにより「不倫だってわかってるのに衝動と快楽に抗えない」感じがたまらなくいい。

「イカれてるよ。」

そうショウジに言われても、なんのことかわからない。私は私なりの愛し方をしているだけなのに。

「……どこが?」
「全部。普通双子の妹を犯して、なんて言わないだろ……嫌いなの?」
「まさか!カオリのことは大好きに決まってるじゃない!」

カオリは私の片割れだし……なにより可愛くて愛おしい妹だ、嫌うなんてありえない。

「相思相愛なら、とっとと告白したらよかったじゃん。」

そのショウジの一言で、大笑いしてしまいそうになる。

「わかってないなぁ、こういうのは言わない方が一番燃えるんだよ。」

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このは

このはです。素人ですが、どうぞよろしくお願いします。

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