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隣のBL
買ってきた日用品を棚に置いていると、後ろからリキに抱きしめられた。リキは僕よりも身長が高くて、こうやって抱きしめられると全身包み込まれてるみたいな感覚になって、すごく落ち着く。僕が毎日心穏やかに過ごせるのは確実にリキのおかげ。
大学時代から付き合っている僕たちは、駅近のマンションで念願の同棲を始めることになった。今までも週末は大体お互いの家にいたからそれの延長上のようなものになると思っていたけれど、こうやって部屋に入り、買ってきたものを並べているとただの延長上ではないことをじわじわと自覚し始める。
「リキどうしたの?」
「いやー、念願の2人暮らしだなーと思ったら、ミズキのこと可愛く思えちゃって」
「いつもはそう思ってないの?」
口にしてすぐに、あーちょっと意地悪な聞き方したな、と思ったけどリキは相変わらず笑ってくれている。
「もちろん思ってるよ。棚の整理終わったら一緒に風呂入ろ」
「……っ、うん」
僕の息を呑む音が聞こえたのか、リキが意地悪く笑う。一緒に風呂に入ろうと誘われる時はいつもえっちなことをするときだから、その言葉を聞いただけで身体が軽く反応してしまうのだ。まるでパブロフの犬。だけどそうやって僕に教え込んだのはリキだから。責任とって今日も気持ちよくしてもらわないと。
棚の整理が終わり、まだ物が少ない脱衣所で服を脱がせ合う。まだベッドの上じゃないのにお互いにもうスイッチが入ってしまっている。新しい環境というのが気持ちを高ぶらせているのかもしれない。
「あっ……」
「まだ触っただけなのにそんな声漏らすなんて、ねえ」
リキが僕の尻をさわさわと優しく撫でてきた。それだけで期待しているみたいに尻が揺れてしまう。だめだこれじゃ誘ってるみたい。今からえっちなことが始まるのはわかりきっているのに、それでも誘ってると思われるのはちょっとだけ恥ずかしい。慌てて顔を見ると、顎を掴まれた。
「また可愛い顔して」
「し、してな……」
「はいおすわり」
「ん……」
「できるよな?」
ぺたん、とまだ真新しい床に座り込む。ひんやりしていて身震いしてしまう。今日はこのプレイだ。床におすわりさせて、次に何をさせられるかはもう分かりきっている。
「よしよし、いい子」
頭を撫でられると、勝手に頭が下がってしまう。ソフトなSMプレイもどきはたまにリキがやりたがる。もう慣れているとはいえ、たまにしかやらないから心拍数が上がってしまう。
「シャワー浴びる前にさ、ちょっとだけここ舐めてみよっか」
「……っ」
僕の前に立ち膝になってくれたリキの股間に、ゆったりと顔を近づける。まだ萎えているそこを軽く右手で握ると、それだけで少し硬くなった。握ったまま唇で先っぽにちゅって優しく口付けて、そのまま口に含む。
「んむ……ん……っ」
まずは唇だけでやわやわと愛撫していく。唇を動かしながら丁寧に口の中で大きくしていくと、リキが満足そうに息を漏らした。その息の音を聞いてからようやく舌を使った愛撫をしていく。まずは尿道口付近を舌の先でちろちろと刺激する。どんどん硬さを増していくのがわかっておもしろい。それから舌全体を使って幹の部分を舐めていくと、さっきよりも深く息をはく音が聞こえた。
「上手になったねえミズキ」
「ん……っんぐ!」
優しく頭を撫でられたのが嬉しくて返事をしようとして、口が離れかけた。
ぐっと頭を抑えられ喉奥近くまでちんこを押し込まれてしまう。少し苦しいけれど嫌いな苦しさではないからそのまま奉仕を続けていく。ぴちゅぴちゅと音を鳴らしながら強めに吸引すると、さっきよりも一回りちんこが大きくなった気がした。
「やべ……イきそ、」
リキの苦しそうな声が聞こえてすぐ、チャイムの音が鳴った。
「……っ、タイミングやば」
お互い急いで服を着て、一緒に玄関のドアを開ける。そこには男の人が2人立っていた。片方はすらっとした長身で、もう片方は小柄だ。身長のバランスも年齢も、だいたい僕らと同じくらいだ。ふたりはお隣さんだと教えてくれた。長身の方はアキくん、小柄な方はミチくんというらしい。
玄関で話すのもなんだから、まだ物が少ないリビングに通すことにした。さっき買ったばかりのお茶を注いでテーブルに出し、ソファーに座る。
「突然なんですけど、俺たちって付き合ってるんです」
長身のアキくんが突然カミングアウトしてきた。言われなくてもなんとなく見たらわかる。付き合ってますよって雰囲気がばしばし出ているから、玄関に入ってきた時にすぐ察してしまった。
「奇遇ですね、僕たちもです」
「ですよね! 外で見かけた時に絶対そうだろうなって思って」
少し思考回路が止まりかけたが、おそらく僕たちが部屋に入ってくる時か、外で買い物をしている時に見かけたのだろう。なるほど。
「それで、おふたりに頼みたいことがあって」
「なんですか?」
出会っていきなり頼み事をしてくる相手など信用していいものなのだろうか。一瞬だけ迷ったが、年齢も境遇も近いため気が緩んでいるらしい。そのまま聞いてみることにする。
「俺たちがセックスしてるのをお2人に見ててほしいんです」
「……え?」
さすがにリキと声が揃ってしまった。話しているアキくんは至って真剣な顔をしていて、隣のミチくんは少しだけ恥ずかしそうにしているけど、それでも真剣な面持ちだ。我慢大会みたいだなと思いつつ話を聞いていく。
「誰かに行為中を見てもらいたいって気持ちがずっとあって……こんなこと誰にも頼めないじゃないですか」
「まあ、確かに」
初対面の人間であればますます頼みづらいのではないかと思うが、まあ同じ境遇だからそこはいいのだろう。いいらしい。
「おもしろそうじゃん」
隣でずっと黙って聞いていたリキがやっと口を開いた。リキには別にそういう行為を見たいという趣味はないはずだけど、おもしろいと思ったものにはなんでも挑戦したがる性格なのだ。
「その代わりさ、」
リキがにやにやしながら僕の肩に手を回してきた。嫌な予感がしたけれど、手を解く勇気はでない。耳にふっと息を吹きかけてきて、思わず身体を捩ると低い笑い声がした。僕はどこまでも、リキに弱い。
「俺たちもこのカップルに、行為見せつけようぜ」
***
隣の部屋に入ってすぐ、アキくんとミチくんは目の前で服を脱ぎ捨てた。そのままベッドくらいの大きさがあるソファーに雪崩れ込み、激しいキスを交わしている。
「んむ……んっ、む……んんっ」
小柄なミチくんが押し倒されていて、上に乗っかっているアキくんが噛み付くようなキスをしている。
気分が乗ってきたらベッドでヤっていいから、俺らはソファーでやるからとだけ言われ、家に招かれた。何かしら部屋の説明があるかと思ったが全くなく、速攻で始まってしまった。
「んぁ……息っ、苦しい……ッ」
「苦しくなっちゃったか。じゃあ次はこれな」
アキくんがミチくんの胸の上で膝立ちになり、口に勃起しかけているちんこを挿入しているのが見える。
「んぐ……んっ」
「もっと苦しくなったねえ」
「ん、んん……」
「これ、おっきくして」
ミチくんは苦しそうな顔をしながらも、ぴちゅぴちゅと音を立てながらアキくんのちんこを舐めだした。その表情を見ながら、アキくんは嬉しそうにちんこを大きくしている。苦しそうな顔に興奮する性格なのかもしれない。僕の恋人であるリキも、たぶんそう。
「ミズキ……」
耳元で熱い息と熱っぽい声がしてすぐにぐっと腕を掴まれ、そのままベッドに連れて行かれた。ベッドの上で仁王立ちになったリキが、僕の顔に自分の股間を押し付けてきた。
「俺もああいうのしてほしいな」
そうだ、よく考えたら僕たちはさっきセックスをやりかけていたのだ。服を脱がすと、リキのちんこは中途半端に硬さが残っていた。
口に含み刺激している途中も、隣からは苦しそうな声が聞こえてくる。この状況、思っていたよりも興奮してしまう。その証拠に脈が速くなっていくのがわかる。
「んんんっ、んっ」
さらに苦しそうな声が聞こえ、そのすぐ後にけほっけほっと軽めの咳がした。見ると、ミチくんが涙目になってむせている。アキくんはうっとりした顔でミチくんの顎を掴んでいる。
「喉奥は痛かったねえ。次は上乗ってみよっか」
「ん……」
もうミチくんのなかの準備は万端らしく、そのままちんこを片手で掴みながら腰を下ろしていくのが見える。一旦口から離し、2人で結合部がよく見えるように移動をした。
「ほら、ミチがちんこ咥え込んでいくの見られてるよ?」
アキくんが意地悪そうに口にすると、ミチくんの目からぽろぽろと涙が流れ出した。
「ん……ゃ、」
「嫌じゃないでしょ。ずっとこうやって見られたかったの、ミチの方なんだから」
アキくんがそう言うと、ミチくんは泣きながらも、ほわああっと花が咲いたように笑った。まるで行為中とは思えないくらいの純粋な笑顔に、思わず喉の奥がぐっと締まるのを感じる。苦しいし恥ずかしいけど気持ちがいい、それが僕にも痛いほどわかるから。
「ぁあっ、あ……ッ」
根元まで入り切ってすぐ、アキくんが腰を突き上げ始めた。そのあまりにも激しい動きにミチくんは太ももを細かく振るわせながら、お腹に乗せている手に強めの力を入れて身体を支えている。
「ほら、俺の舐めながらでも見えるだろ」
騎乗位しているのを見ている僕の口に、リキが再びちんこを入れてきた。僕の手と口から鳴っているぴちゅぴちゅという音と、ミチくんが下からちんこを突き上げられているぐちゅぐちゅという音が重なる。
「ふぁああッ、アキっ、イきそ……ッ!」
「ん……ミチっ、一緒、に」
ミチくんがえび反りになると同時に白い物を噴き出した。ゆっくりと上から降りると、太ももにアキくんの出した物が伝っていくのが見える。
「ミズキっ、俺も出るっ」
リキがそう言ってすぐに喉の奥にねばねばしたのものが引っかかった。ごくっと喉を鳴らして飲み込む。
「あとイってないのはミズキだけだね……今から気持ちよくなってるところ、ふたりに見てもらおうな」
ああ、こんなに興奮することがあるなんて。お隣さんのふたりに見られながら、僕は息を荒くしながらゆっくりと脚を開いた。
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