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青姦

夜行バスの背徳行為

 深夜の0時過ぎ、だいぶ夜行バスの暗さにも目が慣れてきた頃。俺の彼女のユリのほっそりとした手が、ズボンを押し上げている俺の屹立に伸びてきた。

「カイト……舐めていい?」

 吐息混じりの脳を溶かすような囁き声が、耳をくすぐる。俺はゆっくりとズボンのチャックを下げ、いつでも性交できるくらい硬くなった肉棒を、夜行バス特有の空気に晒すこととなった。

***

 半年前に、大学内のサークルで出会ったユリと俺は、ついさっきまで、関西の某テーマパークで遊んでいた。テーマパークには久しく行っていなかったが、ユリが事前に調べまくってくれたおかげで、園内を効率よく回ることができ、乗り物もレストランも行きたいところは全部行くことができたのだ。夢のような時間は、いつだってあっという間で、気がついたらぎゅうぎゅうの夜行バスのシートの上。左手についているデバイスウォッチをタップすると、23時55分。もうすぐ日付が変わる。

「ユリ、起きてる?」

「んーどうかなー。」

 周りの眠っているであろう人たちを起こさぬよう、小さな声で囁くと、ユリはカーテンのかかっている窓の方を見つめながら返してきた。

「どうかなって言ってんなら起きてるな。」

「ばれたか。」

 そう言いながらユリはこっちを向き、いたずらっぽく笑った。本人に言ったことはないが、こういう小悪魔っぽいところが、堪らなく好きだ。ふわふわに巻いた黒くて長い髪も、同世代よりも幼い見た目も。今日のために買ったという水色のワンピースも全部、俺の好みすぎて、見るたびにどきどきしてしまう。そして、場所を問わず、あそこが熱をもってしまいそうになる。
 
 しばらくその横顔を見つめていると、一瞬だったが、ユリがちろりと唇を舐めるのが見えた。やばい。舌は、俺がユリの身体の中で最もクラクラする部分。夜行バスは車内の乾燥がひどく、それを少しでも和らげようとしたのだろう。そうとは分かっていても、その一瞬の動きは、俺の欲望のスイッチを入れたのだ。ユリが俺のペニスやタマを、必死に舐めている時の感触が一気に蘇り、必死に考えないようにしていた欲が、自分の中でじわじわと、熱を持っていくのがわかる。
 
 このまま我慢できそうにない…。ここがどこで、今からしようとしていることが、どれだけいけないことかもわかっているのに。今なんとかしたい、という欲が抑えられないのだ。どこに行ってもマナーだけは守ってきた真面目な人間なのに、それがゆっくりと崩壊していくのがわかる。

「……ユリ。」

 耳元で小さく囁くと、ユリは「んー?」と間伸びした声を出した。右手を伸ばし、水色のワンピースの少し影になっているところに手を置く。人差し指で軽くつんつんすると、くすぐったいのかユリは身を捩ってみせた。

「もーなに?」

「ユリのこと、触りたくなってきたんだけど。」

 困ったように眉を下げているユリに、音を立てないよう軽く口付ける。唇と唇の間に慎重に舌を入れ、歯を優しくなぞると、俺の舌をすぐに迎え入れてくれた。ゆっくりと舌を絡ませながら、ユリの耳を塞ぐ。だいぶ前にユリが教えてくれたのだ。キスの最中に耳を塞ぐことで、水音が頭に響き、余計興奮するのだと。こういったお願いをストレートに伝えてくれる、積極的なところも大好物だから、今日も忘れず、それをしてやる。
 
 唇を離そうとすると、ぬっとりとした唾液が糸を引いた。そのぬるぬるさから、ユリも興奮しているのが分かり、ますますあそこが昂っていく。膝のそばに置いてあったブランケットを手に取る。これで絶対に見えることはない。このあとすることは、俺らだけの秘密になる。

「ユリ……いい?触っても。」

 吐息混じりの声で囁くと、ユリは暗闇でもわかるくらい顔を赤め、わざとらしく唇を尖らせた後、こう返してくれた。

「いいよ……いけないこと、しよっか。」
 
 その言葉を合図に、俺はワンピースを捲り、パンツの上からクリトリスの場所を探す。何度か中指で優しく押すと、そこは期待しているかのように芯を持った。ユリの少し速くなった息が俺の頬に当たって、たまらず再び唇を重ねる。
 
 キスしながらゆっくりとパンツをずらし、指を入れていく。唇を離し、少しだけまんこの表面に触れると、じわりと溶けたバターのような感触。少しだけ中指の先に愛液をつけ、勃っているクリトリスをガラスを扱うように、優しく丁寧に触れた。しばらくふにふにと触っていると、ユリの内腿の震えが、俺の手に伝わってきた。軽く達してしまったらしい。

「ぁ……ああっ。」

「声我慢して。」

「……っ!ふ……ンぅ」

 声が勝手に漏れていることに気がついたユリは、自分の右手の手のひらで口を押さえた。だが、それでも息は漏れてしまっている。

「我慢しないと、カーテン越しの隣の人に聞こえちゃうよ?」

「ん……ぅッ。」
 
 いつも行為中は、大きめの声を上げているユリ。そんな彼女が、目の前で必死に声を堪えている姿は、かなり新鮮だ。中指をクリトリスからまんこに移す。ぬっとりした愛液を纏った俺の中指が、ぬぷ、とユリのあたたかいまんこに入っていく。まだ少ししか触っていないのに、そこは愛液を吹き出していて、上手に指に吸いついてくれた。
 
 ペニスと比べたら、中指なんて全然細い。だが今この瞬間、夜行バスの中という状況では、ユリにとっては、中指だけでも十分興奮材料になるらしい。指をぬちぬちと動かすと、おもしろいくらい簡単にぬるぬるになってしまう。

「ほら、ユリがいっぱい濡らすから音なっちゃうじゃん。」

「あ……ぁ……ッ」
 
 ぐちゅぐちゅと小さく音が鳴っていることを伝えると、ユリのなかが、俺の指を千切るように、強くうねりはじめた。そして、愛液が垂れてしまいそうになるくらい、次から次へと溢れてくる。指1本でこんなに感じてくれるのは、この場所でやっているという背徳感からだろうか。いつも以上に濡れていて、指の出し入れが容易すぎる。

「こんなに締めてるの、バスの中だから?」

 無言で数回頷いているのを見て、ゆっくりと2本目の指も入れた。ユリの表情は、恥ずかしそうにも嬉しそうにも見える。いつしか、ユリがアブノーマルなことをしてみたい、と言っていたのを思い出した。今、それが叶っていることに、おそらく興奮しているのだろう。
 
 2本の指をバラバラに動かすと、さらにぬるぬるになり、中のあたたかい肉が、指にまとわりついてくる。ユリがいい反応を見せてくれる、ざらざらした部分を探し、しつこいくらい刺激する。すると、ユリの脚にぴきっと力が入った。指を動かすのがきついくらいに、なかがぐっと締まり、とてつもない圧迫感を感じる。しばらく中がびくびくと小刻みに震え、ユリは脱力した。
 
 抜いたばかりの人差し指と中指を、近づけたり離したりすると、細い糸が見えて、触覚だけでなく、視覚的にもユリが気持ち良くなったことがわかり、とてつもない満足感に包まれる。

「はあ……あ、カイト……っ」

 深く絶頂したばかりのユリが、息も絶え絶えに俺の名前を呼びながら、ほっそりとした手を、ズボンを押し上げている俺の屹立に伸ばしてきた。

 「カイト……舐めていい?」
 
 こんなのもう、我慢できるわけがない。夜行バスのなかで、淫らなことをするという背徳行為に、俺の理性は豆腐くらい脆くなり、とっくに崩壊していて、今さらここで止めるなんてことはできっこない。
俺はユリの目を見ながら頷き、ベルトを緩め、ボクサーパンツをズボンと一緒に少しだけおろす。いきり勃った肉棒が跳ねるように出てきて、かさついた夜行バス特有の空気に触れる。ユリが上体を倒し、肉棒に口を近づけてくる。まだ舐められていないのに、生暖かい息がかかっただけで、質量を増した気がした。
 
 味見をするかのように、亀頭をぺろりと。それから、唇でついばむようにに口付けられ、むずがゆいような感覚に、思わず腰が揺れてしまう。ユリが少しだけ顔をあげ、僕を見つめた。その目は熱っぽく濡れており、このまま続けてもいいかどうかの確認だということは、すぐにわかった。俺が頷くと、ユリはまた上体を倒す。

「ぅあッ」

 さっきまでの優しい唇の愛撫から一転し、突然溶けてしまいそうなほど熱い口内に包まれ、思わず声が漏れてしまった。自分の声だと信じたくないくらい高い声。さっきのユリみたいに口を抑えると、立場が丸切り逆転してしまったのを強く自覚し、背筋がぞくぞくした。そして、徐々に呼吸が荒くなっていくのがわかる。自分の中に眠っているマゾの自分が喜んでいる。やばい、マゾなのバレたくないのに。本当にアブノーマルなことしたいと思っているのが、俺の方だって、ユリにバレたら恥ずかしすぎる。
 
 ユリが肉棒から口を離し、根本から上へと舌を使い唾液を纏わせているのが見える。先走りと唾液が混ざり、さらにぬるぬるした感覚が広がっていく。ああだめだ、舌を見れば見るほどぞくぞくする。はやく達してしまうのが嫌で、舌を視界に入れないように目を瞑ろうとしても、その淫靡な動きから目を離すことができない。脱ぎかけている下着に垂れてしまいそうなくらい、唾液を塗し終えたユリは、もう一度それを口に含んだのだ。
 
 唾液が纏わりついている俺の肉棒が、ぐじゅぐじゅと音を立てながら、ユリの口の中を出入りしている。そこから口を離したユリが、耳元で嘲笑うような声で言った。

「かいとの……めちゃくちゃ大きくなってるね。」

「……っ!」
 
 その言葉を聞いた瞬間、手にも口にも触られていない肉棒が大きく跳ね、ユリの腕に当たってしまった。それを見たユリは嬉しそうに笑い、また肉棒を口に含む。ひりひりするくらい熱い口のなかで強くしごかれ、限界の大きさになっていると思っていたはずの肉棒は、より質量を増していく。今にもはじけてしまいそうだ。

「ふ……う……ああっ!」

 あまりの気持ちよさに、堪えきれなかった声が漏れると、軽く歯を立てられ、その刺激にも興奮してしまい、声が漏れる。俺はいつからマゾになったのだろうか。おそらく元々素質はあったのだろうが、今までユリとも、そしてユリ以外の誰ともそういったプレイはしたことがなかった。それならば、今ここで、ユリによって、俺はマゾにされたといっても過言ではない。

「ぅあっ……ふっ……あや、ば……っ」

 俺がいちばん気持ちいいカリ首の部分を、繰り返し強く吸われる。いつのまにか口を塞ぐのも忘れて、俺は腰を震わせ、ユリの口の中に、何回かに分けて精を噴出した。

「はあ……はあ……」

 ぐったりしている俺の耳元で、ユリが喉の音を鳴らし精飲したことを知らせてくれる。その音にまで身体が反応し、肩を震わせた俺を見たユリは、低い声で笑い嬉しそうに口を開いた。

「私の舌で興奮しちゃったねえ。」

「……っユリ、もしかして、いつから。」

「そんなの細かい反応見てたらわかるよー。私の舌に興奮してるのも、ほんとはいじめられたい、マゾなのも。」
 
 そう言って俺の顔を両手で包みこみ、舌を絡ませてきた。ユリから伝わってきた、苦い味が、口いっぱいに広がる。音が鳴らないようにそっと唇を離したユリは、またさっきみたいにいじわるそうな顔をして、俺の耳元で囁いた。

「はい、カイトの味。夜行バス降りたらホテル直行ね。いっぱいいじめてあげるから」

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Akari

皆さま、読んでくださり、ありがとうございます!順次新作をお届けしますので楽しみにお待ちください! 【おすすめ掲載】 ・打ち上げ花火に照らされて(純愛) ・僕たちの初恋(BL) ・夏の暑さに酔いしれる(不倫)

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