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マッチングアプリ

欲を満たすだけの行為じゃないんです

「ねえ、本当に俺動かなくていいの?もう少しさ、ムードを大事にしようよ」

「必要ないって言ってるじゃない。そんなものあったって、どうせお互いに欲を満たすだけにヤッてることなんだから」

邪魔になる髪を耳に掛けて、ベッドに座る彼の股の間に体を割り込ませて、ズボンのチャックを早急に下ろした。

彼はどこかつまんなさそうにため息を吐いて、自分でズボンを下ろそうとする。

しかしそれをすぐに制止して首を横に振る。

「いいの。私がするからあなたは動かないで」

「ええ?この間もそう言って、すぐ終わらせて帰ったじゃない。少しぐらい俺と長く一緒にいようよ、ね?」

「結構です。私は自分の欲求を満たしたいだけなの。あなたにはそれの手助けをして貰うだけ。だからズボンも脱がなくてもすぐに終わるから」

「凄い自信だね。だけど君が終わったら僕の欲求も満たしてよ」

「分かってるわ。最初にそう話したんだから」

お互いに了解を得てからズボンを脱ぐのを止めて、大人しくベッドに座った彼の股の間に体勢を整えて、チャックを下ろして、パンツも少しずらす。

まだ反応のない陰茎を手に取り、根元から先端に掛けて指先でつうっと撫でていくも、反応はない。

他の男性なら、それだけですぐに勃起するはずなのに、この男性は全く反応がない。

それどころか私を見下ろして、小さく欠伸すらした。

顔を顰めて、馬鹿にされたような気分になりながら、軽く先端に唾液を垂らして、滑りを良くする。

そして根元をキュッと軽く握り、先端に掛けて軽く力を込めて、擦り上げた。

それでもビクリとも反応を見せない陰茎に、眉間を寄せてジッと睨むように見つめていると、困ったように笑う声が頭上から聞こえてくる。

「そんな睨んだって勃起しない時はしないよ。もっと丁寧に扱ってくれないと。君のせいで使い物にならなくなったら、君に責任を取って貰わないといけないんだから」

「うるさい、分かってるわよ。そんな粗末に扱ってないわ。いいから黙ってて」

彼の一言一言に、少しだけ苛立ちと焦りが募る。

アプリでワンナイトしただけの相手は、いつもすぐに陰茎を擦れば反応を示した。

そして興奮した獣のように、馬乗りになって荒々しく情事をする。

それがいつもの行為であり、こんな長たらしい時間を掛けて行為などしない。

早くこの自分の欲求を満たして欲しいだけだ。

それだというのに、全く反応を見せない陰茎を忌々しく思ってしまう。

「ほら頑張って。君なら出来るんでしょ?」

「いいから黙ってよ。うるさいわね」

「はは、そんなムキにならないでよ。お互いに楽しもうよ」

その軽い口調に、最近になって考えていたものが確定に変わる。

彼と出会ったのは二ヶ月前。
自分の性欲を満たしてくれていた男性が結婚をするからと、私との関係を終わらせたのだ。

それをきっかけにまた新しい男性を作る為に、久しぶりにアプリに登録して、彼と知り合った。

プロフィールに書いていた通りに、自分の性欲を満たしてくれる男性ではあったが、今までの体の関係を持った男性達とは少し違った。

恋人のような雰囲気を大事にして、キスや長たらしいセックスが大好きだった。

それが酷く物足りなくて、最初は一回きりで終わろうと思ったが、彼と体を重ねる頻度は一週間の間で毎日だった。

その為、仕事終わりに彼と待ち合わせをしてホテルや、彼の自宅で行為をすること自体は嫌いではなかった。

性欲が強い分、毎日したくてもどの男性達も毎日は抱いてはくれなかった。

どれだけ求めて、会おうと伝えても誰も毎日は無理だと断っていた。

仕方なく、関係を持った人がいようと一人ですることがほとんどだった。

その為、彼の毎日性欲を満たしてくれるところだけは好きだった。

「なんで勃たないのよ…不感症なんじゃないの」

「そんなことないよ。君がもう少し頑張ってくれたら勃つかもしれないよ?」

「…私が下手だって言いたいの?」

「そうは言ってないよ。なら、俺に任せてくれない?そんなちんたらしてたら君だって欲求溜まっちゃうでしょ?」

頬に掛かる髪を耳に掛けられて、優しく問い掛けてくれる彼の言葉に、苛立ちが湧き上がりそうになる。

ただ早く自分の中に挿れて、動いてくれればそれで済む話だ。
どうせ明日には、また性欲が湧いて抱かれに彼と会うんだから。

彼は目を細めて、私の頬を撫でながら上体を起こして自分のベッドの横を叩いて、ここに来いと言ってきた。

仕方なく彼の言う通りに、横に座り込んだ。

「もっとさ、情熱的なセックスしよ?つまんないセックスばっかりしてたって、全然欲求なんて満たされないじゃない」

「…ならどうするのよ。どうせ誰も私の性欲に付き合ってくれる人なんていないもの」

だって本当のことだから。
誰も私の欲求を満たしてくれないし、皆自分のペースに合わせて欲しい人達ばかり。

自分が抱きたくなったら私を呼び出す。
私の欲求を満たして欲しいと、伝えても自分達の性欲のことしか考えていない。

彼は軽く足にキスをしてきた。足を開いてと言われ、仕方なく彼の言う通りにスカートを捲り上げて、ショーツが見えるように足を開いた。

今度は彼が私の足の間に体を割り入れて、舌なめずりをする姿に、不思議とゾクッとした期待が体を駆け抜けた気がした。

彼はショーツに顔を埋めて、舌を突き出して布の上から舐め上げた。

「な、何をしてるのよ…ッ!そんなの汚いでしょ!」

「汚いって…。君はいつも俺のモノを口に咥えてるじゃないか。そっちの方が汚いだろ?」

「…あれは、早く抱いて貰う為にする行為だから仕方なくよ」

「なら、俺も君に興奮して貰う為にやっていることだから気にしないでよ」

一言言えば、二言で返される。
口で負かされてしまうと、こちらもぐうの音も出なくなる。

彼はさも楽しそうに笑みを浮かべて、今度はショーツを横にずらして、直に舐めてきた。

陰毛はこの関係を始める前から全剃りをしており、きちんと脱毛をしていたこともあって、しっかりと肉の割れ目まで見える。

彼はあまり好みではないようだが、それでもすぐに行為をする為には、陰毛はとにかく邪魔にしかならなかったのだ。

愛液でベトベトになることもない。
お互いの体液で濡れることもないのだから。

「ホント綺麗に処理しちゃって、大変じゃない?俺の前だけでもそんなに綺麗じゃなくてもいいんだよ?」

「うる、さい…早くして…ッ」

外気に触れる度に、少しずつゾクッとした快感が駆け抜けて、ヒクヒクと膣が収縮して、ジワッと愛液が滲み出す。

まるで弄ばれているような気分になって、彼の髪を軽く握った。

「痛い痛い」と言いながらも決して止めようとはせず、そのまま膣に顔を近付けて、突き出した舌先でベロッと膣の割れ目を舐め上げられた。

何度かされたことがあるが、やはりどことなく慣れない。

滑り気を帯びた唾液が膣の割れ目からジワッと中に入ってくるような感覚がして、ビクンと腰を震わせる。

私の反応に気づいてか、気づいていないのか何度も割れ目だけを舐め続けられ、秘豆を掠っても、決して舐めてはくれない。

感じたことのないもどかしさに、ビクビクと腰が僅かに震え出す。

「ん…ッ、腰震えてるよ?気持ち良い?」

「うるさ、い…ッん…はやく、中に挿れなさいよ…ッ」

「まだ駄目」

震えそうになる声で彼に伝えてみるが、いつもの優しい声ではなく、少し語気を強めて言われてしまい、何も言い返せなくなる。

膣の割れ目だけを舐められる感覚に、思わず足が震えた瞬間だった。

膣全体を口で覆い、ジュルルッと強く吸い上げられて、大きく腰が跳ね上がった。

感じたことのない強い刺激が体を走り、ガクンガクンと腰が前後に揺れて達してしまった。

たった一度きりで吸い上げられただけだというのに、簡単に絶頂を迎えたことが信じられなかった。

は、は、と荒くなる呼吸にそれでも尚、吸い上げる力を弱めてくれない彼の頭を強く鷲掴みにして、背を仰け反らせた。

膣全体を口で覆われ、強く吸い上げながら、舌先で秘豆をクリクリと弄られてしまえば、強い快感が体に走り、腰をガクガクと震わせて二度目の絶頂を迎えた。

「ひ、ッぐうぅ、…!ん、んぐッ…うぅぅ!」

「そうそう、可愛い声出るじゃない。でも、これだけで済まないからね」

彼は膣から口を離して、べっとりと愛液の張り付いた口元を舐め上げながら、私を上目遣いに見つめて、グジュッと中に一本指を挿入した。

達したばかりで敏感になった膣内に感じる太い指の圧迫感に、ひっと大きな悲鳴を上げて、腰を震わせてしまった。

グニグニと浅い所や、深い所まで激しく突き上げられて、体に何度も痺れるような快感が走る。

その時に、ズボンの中に仕舞われていなかった陰茎が、天高くそそり立っていることに気付いた。

はあ、と荒い呼吸を吐いて、ジッと強くそそり立つ魅惑的な陰茎を見つめた。

早くそれを中に挿入して欲しいのに、未だに指だけでしか快感を与えてくれず、今までに感じたことのない強烈な快感が体を駆け抜けていた。

「あ、ぁぁッ!んあッ、や、あぁッ!そこ、たりなぁッ、もっと、も、っと…ッぉん…あぁッ!!」

ジュポッと強く引き抜かれた指が、上壁やコリっとした硬く敏感な箇所を引っ掻きながら引き抜かれ、ビクビクと腰が激しく揺れて、また絶頂を迎えた。

飲み込めない唾液を口端から溢れさせて、背を仰け反らしながら、必死に力の入らない手で彼の頭を鷲掴みにしていた。

愛液で濡れる指を私の口元まで運び、唇や僅かに開いた隙間から指を入れられた。

まるで舐めて、と言われているような気がして、ジュルッと陰茎を吸い上げるようにしっかりと舐めると引き抜かれた。

その光景を見つめていた彼の目が細められて、嬉しそうに口端が上がり、立ち上がって私の唇に啄むようなキスをした。

「俺は君のその可愛い顔が見たかったんだよ。強気な目がさ、崩れてくれるのがね」

私の体に覆い被さるように、ドロドロに濡れそぼった膣に陰茎をあてがったかと思えば、グポッと深く最奥まで一気に突き上げられた。

いつも自分だけが男の人に奉仕していたはずなのに、今日は自分ばかりが奉仕されてどうすればいいのか分からなかった。

はひはひ、と呼吸もままならなくて、快感に溺れる自分が怖くて、彼の逞しい背中に腕を回して必死に縋り付いた。

体のあちこちが敏感になっていて、密着するだけで気持ち良くて、彼の胸板に顔を押し付けて必死に彼を求めた。

「あぐぅ、ぅッ!!も、っとぉ、ッ、おくぅッ、たり、ないのぉ、ッ!お、ぐぅ、ッうぅ!ほしい、ぃ、のぉッ!!」

「そうかそうか。それが君の本音だね。ならもっと奥突いてあげるね。それと今日は俺も限界が早いかも…ッ」

困ったような声で、私の頭にキスをしてくれる彼の優しさがたまらなく好きで、彼の首筋に自分も唇を押し付けて軽いキスをした。

こんなに快感を感じるセックスは初めてだった。

もっと満たしてと彼の腰に足を絡めて、強く背中に爪を立てた。

グポグポと突き上げが徐々に激しさを増し、お互いの愛液か先走りかが混じったようないやらしい粘着質な音が聞こえ始める。

奥ばかりをグングンと突き上げられて、腰を痙攣させて、膣内を無意識に締め付けた瞬間。

ビクンと大きく揺れた陰茎が質量を増した直後に、ビュルルッと激しい勢いのまま精液が中に吐き出された。

熱過ぎる精液の感覚に、自分も腰をガクガクと震わせて何度目か分からない絶頂を迎えた。

ゆったりと腰を動かしながら、陰茎を引き抜いた彼が、上体を起こして、私の唇や頬に軽いキスをする。

「さて、まだまだ満たされないはずだよね?」

「…ぅ…え…ッ?な、にを…言って…ッ」

「いつも物足りないんでしょ?ならあと何回すれば君はもっと乱れてくれるかな?」

爽やかな笑みを浮かべて、また質量の増した陰茎を上下に擦りながら、グジュッと膣内に挿入してくる。

もういらない、と震える唇で伝えても、彼はにんまりと笑うだけで、ゴリッと強く子宮口を突き上げられて、あられもない声をあげてしまう。

「君の欲求不満は俺だけが満たしてあげるからね」

そう言って、再開された突き上げに甘ったるい喘ぎを漏らしながら満たされていく欲求に、ただ彼から与えられる快感を受け入れることしか出来なかった。

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Akari

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