0
秘密の特訓は誰の為か
「それで?また旦那さんに魅力ないって言われたの?それとも下手って言われた?」
足を組んでベッドに座り込む彼に、何かを言い返す気力すら湧いてこなかった。
私の顔を覗き込むように見つめてくる彼の横で、顔を上げられずにいた。
「…下手くそで…お前とはやりたくないって…」
「あらら、そんなことまで言われちゃったんだ。可哀想にね。なら、早速今日も練習しよっか。魅力的な女性になりたいんでしょ?なら、魅力的にならなきゃ」
捲し立てるように早口で言い終えてすぐ、私の腕を引き寄せて、私を抱き締めた。
彼と体を重ねるようになって四回目。
相談してから一ヶ月。
彼と毎週のように体を重ねて、特訓の成果を旦那に披露していた。
しかし成果が上手くいった試しはなかった。
例え仲が良い同僚と言えども、こんな相談をまともに聞いてくれるのは彼しかいないだろう。
このまま旦那に捨てられるのが怖くて、自分でも努力はしてるが、何をしても嫌がられる一方だ。
もう既に自分には何も魅力的な部分などないのかもしれない。
涙を流す私を優しく抱きしめながら、頭を撫でて宥めてくれる彼。
「こんなに特訓してるのに成果がないなんて…旦那さん見る目ないんじゃないの?」
「…でも、きっと…私には何も魅力なんてないのよ。だから抱かれてる時でも嫌そうな顔ばかりなのよ」
「なら、更に特訓しないといけないね」
そう言って私の体を後ろへと押し倒す。ベッドへと縫い付けられて、軽いキスをされた。
それが徐々に下へと降りていき、頬や耳、首筋などに軽いキスをされ、プチプチとブラウスのボタンが外されていく。
胸の下辺りまでボタンが外された。彼は上体を起こして私を見下ろした。
「こんなに可愛い下着を付けてても駄目だった?」
「…お前の下着に興味ないって言われた」
「勿体ない旦那だなあ、こんな可愛い下着付けて強請られでもしたら、俺なら嬉しいけどな」
ゆっくりと胸の谷間をなぞりつつ、心底驚いた様子で私の胸を撫でた。
真っ白な下着は男性なら誰もが好きだと教えてくれた彼の言う通りに、折角選んだ真新しい下着。
それすらも旦那は喜ぶことはなく、むしろ「そんなことに金なんて使うな」と言われる始末。
彼に喜んで貰いたい一心で、初めてこんなにセクシーな下着を選んだというのに。
真っ白な下着は少し透けていて、少しだけだが可愛らしいレースも施されている。
それでも旦那が喜ぶことはなかった。
「女の子だってお金掛かるのにさ、少しぐらい褒めても良いと思うけどね」
「…やっぱり私には魅力がないのよ」
「そうかな?綺麗な形をしている君の胸によく似合ってると思うけど?少し透けてるのも可愛いし、何が気に入らなかったんだろうね」
私の悲観的な言葉などお構い無しに、ブラウスのボタンを全て外して、ゆっくりと下から掬い上げるように大きな手で胸を揉み出した。
優しく揉んでみたり、時折グリッと乳首を掠めながら強く揉んでみたり。
そうされながら、何度も優しい声で「可愛い」と囁かれてしまえば、徐々に顔に熱がこもりだす。
旦那から可愛いという言葉を聞いたのはずっと前だ。
結婚して五年経った今では、私を抱くよりも夜中にAVを見ることや、会社の付き添いでという言い訳を添えて、スナックへ行った後にホテルで女性と体を重ねていることの方がきっと多いはずだ。
言い訳がましい言葉ばかりを言われ、私が彼のことを誘惑しても抱いてくれない。
それなのに、私以外の女性を簡単に抱いてしまう旦那に悲しさしか湧いてこなかった。
魅力がないということは、もう私に愛想を尽かしたということだろう。
どんどん落ち込んでいく私の頬を、彼の両手が優しく包み込む。ジッと目線を無理矢理合わせてきた。
「こらこら、言っただろ?俺とする時は俺だけに集中してって。旦那のことは一旦忘れて。俺だけを見てって約束したでしょ?」
目に掛かりそうな前髪を少しあげて、私をジッと見つめてくる整った顔立ちに、息を飲んでしまう。
これだけ顔立ちが良ければ、女性陣が騒ぐのも理解出来る。
そんなことをふと頭の隅で考えながら、彼の言葉に素直に小さく頷いた。
相談した際に彼とした約束があった。
魅力を付ける為の特訓をする時は、旦那のことは一切忘れること。
それが彼からの条件だった。
忘れると言っても快感を拾ってしまうと、旦那のことなど忘れてしまう。
丁度一週間前の時もそうだった。
まさかあんなに乱れるなんて思いもしなかった。
「さて、それじゃあ服を脱いで貰おうかな。あとは…まあ、前にも教えたから分かるよね?」
彼はそう言って私の横に寝転がり、ジッと見つめて次の行動を催促してきた。
その視線に恥ずかしさが込み上がり、ふいっと顔を逸らしながら、寝転がる彼の足の上に跨る。
そしてブラウスを脱ぎ捨てて、下着のホックも外して、胸をあらわにする。
僅かに揉まれただけでも乳首はすっかり主張しており、外気に触れて余計にピクンと震えた。
ゆっくりと体を丸めて、少しだけズボンをずらす。
あらわになるボクサーパンツに指を掛けて、ゆっくりと下ろしていくと、少しだけ半勃ちの陰茎が姿を見せた。
やはりいつ見ても慣れることはない。
旦那にすらしたことがない行為を彼にしていると思うと、少しだけ恥ずかしさが込み上がる。
「それをどうやって大きくするか…教えたよね?」
「…分かってるけど、やっぱりまだ慣れないわ。これは本当に旦那や…男の人が喜ぶことなの?」
「ああ、そうだよ。旦那もきっと喜ぶさ。それにこれが上手くなれば旦那もこれの虜になるよ」
自信満々に言われてしまえば返す言葉もなく、さほど大きくもない胸を寄せて、ゆっくりと半勃ちの陰茎を間に挟み込んだ。
少しピクリと揺れただけで、まだまだそそり立つことのない陰茎の先端に、唾液を垂らして、滑りを良くした。
トロトロと唾液を垂らす度に、ヒクヒクと開閉する尿道に唇で吸い付いた。
ジュルッと軽く吸い上げて、陰茎を挟み込んだ胸を上下に揺らした。
滑りのよくなった陰茎が徐々に熱を帯びて、ゆっくりと上へ上へとそそり立つ。
強弱を付けて胸を揺らしながら、時折先端に吸い付いて、舌先で尿道を啄きながらグリグリと弄ると、張り詰めた呼吸を吐き出す音が頭上から聞こえてくる。
徐々に速度を上げて胸を揺らし、陰茎を刺激すると、天を向いた陰茎からトプッと先走りが溢れ出す。
それらも全て口に含み、ジュプジュプと吸い上げたり舐め上げたりを繰り返す。
「は…ぁッ…うまくなったね。最初の頃よりも上手くなってるよ」
「んぶ…ッ、う、ぅ…んんッ…」
私の髪を撫でながら、そう囁く彼の言葉に嬉しさが込み上がる。
彼に喜んで貰えることで旦那にも喜んで貰えるかもしれないという期待が湧き上がり、徐々に速度を上げて強く先端を吸い上げた。
その瞬間に、呻き声のようなものが頭上から聞こえてビュルッと先端から精液が噴き出し、私の胸や顔を真っ白に染めていく。
ビュル、ビュルッと数回吐き出した所で、そそり立っていた陰茎が萎えていくのに気付いた。
しかしこの時の対処法も彼に教えて貰っていたのだ。
胸から陰茎を離し、今度は根元だけを擦りながら数回カリ首まで口に含んでは口から離すを繰り返す。
すると徐々に気力を戻した陰茎が、そそり立ち天を向き始める。
上体を起こした彼が、口元に張り付いた濃厚な精液を指で拭ってくれて、今度は私がベッドに埋もれる形になった。
「じゃあ、今度は…ここで楽しませる方法の復習をしようか」
スリッと下腹部を撫でられ、ジッと熱を孕んだ目で見つめられた。
その言葉にスカートを捲り上げ、ショーツを脱いで床に落とした。
彼によく見えるように、スカートを口に咥えながら彼を求めて視線を向ける。
その仕草に目を細めて嬉しそうに口端を上げる彼に、胸の奥が熱くなり、これからされるであろう行為に胸が高鳴る。
「上手になったね。それでお強請りされたら旦那もきっと喜ぶよ。可愛くて堪らないって」
優しく頭を撫でられて、ゆっくりと教えられた通りに足を左右に開いて、彼に膣が見えるようにした。
彼に見られていると思うだけで、ヒクヒクと収縮する膣の入口に、ゆっくりと指を挿入して、よく広げるようにして解す。
家でも一人で特訓をしているせいか、一本、二本と簡単に入り、徐々に膣内もヌルヌルとした愛液で溢れ出す。
最初の頃は全く濡れずに彼に解して貰っていたが、今では自分で解すと濡れるようにまでになった。
トプトプと溢れ出す愛液をまとわせた指で、彼に見えるように押し広げて息を飲む。
「こ、こに…いれて…くださッ…あな、たがほし、ぃの…ッ」
グジュグジュに解れた膣内を見た彼の視線が、真っ直ぐにヌルつく膣一点だけに向けられて、喉が上下に動いたのが見えた。
そして完全にそそり立った陰茎を膣の入口に押し当てる。
「上出来だね。じゃあ男の俺も君の精一杯に応えてあげないと」
前かがみになり、体重を掛けて中に押し込まれる陰茎に膣内が歓喜する。
緩い衝動を始めとし、徐々に速度をあげて奥を突き上げてくる。
ゴリゴリと激しく突き上げられる度に、腰はガクガクと震えて、快感が駆け抜けていく。
陰茎と膣の隙間からは止めどなく体液が溢れ出し、彼が腰を激しく振り乱す度にいやらしい粘着質な音を響かせる。
浅い所から深い所を一気に突き上げられて、小さく悲鳴じみた喘ぎ声が漏れる。
「ん、うぅッ、あぁん、あ、ぁ!そ、こぉ…ッ、もっと、ぉ、ほしぃッ…!」
「君は浅い所が好きだよね。なら、そこを突いてあげるよ。だから君も頑張って動いてね」
そう言うなり、チュッと軽く頭にキスをしてすぐ、ゴリュッと強く最奥を突き上げたかと思えば、一気に引き抜いて、雁首を入口に引っ掛けたままゴリゴリと激しく浅い所だけを突き上げる。
旦那のよりも大きいそれを、最初の頃は浅い所だけで受け入れることしか出来なかった。
それでも徐々に中を広げられていく内に、浅い所を突き上げられる方が好きになった。
自分の快感を拾う箇所を、的確に突き上げて貰えるのが嬉しくて、彼の衝動に合わせて自分も腰を動かした。
グポグポと突き上げられる度にカリ首が上壁ばかりを刺激して、自分の声とは思えない程甘い喘ぎ声が聞こえてくる。
「んひぃッ、あぁッ!そこ、ぉ、ぉんッ!きも、ちいぃ、ッ!き、もち、ぃぃッのぉッ!!」
「君はそこが好きだもんね。は、ぁ…ッ、俺も、そろそろ、出そうかも…」
張り詰めた息を吐き出す彼。グンッと今度は最奥まで突き上げられて、大きく背を仰け反らせた。
愛液のヌメりを借りるように、激しい突き上げも速度が上がり、ビクンと陰茎も大きく震え、質量が増した。
ひ、ひ、と上手く呼吸の出来ない喘ぎ声が漏れて、舌を突き出して彼にキスを求める。
目を丸くしながらもすぐに嬉しそうに目を細める彼。啄むようにキスを何度もされて、前傾姿勢になったことで深々と陰茎が挿入された。
ビクビクと膣内が痙攣し、耐えきれない快感に思わず達してしまう。
それでも子宮口を突き上げられる速度は早まるばかりで、達しても尚敏感になった膣内を刺激され、背筋に快感が駆け上る。
「ひ、ぃ、ッあぁぁ、んあぁッ、や、やあぁ、ッ!!」
「は、…ッ、ぁ、でる…出る…ッ!」
呻き声を上げて、グリッと強く最奥を突かれた瞬間に、ドプっと音がしそうな勢いで精液が吐き出された。
その感触が心地良くて、背を仰け反らせてまた達した。
きゅっと締め付けてしまう膣内に、陰茎からは止めどなく精液が吐き出され、ビクビクと痙攣していた。
その感触が堪らなくて、舌を突き出して緩む口元のまま彼を求めた。
「も、とッ…は、ぁ、んッ…して…、まだ、たりな…ッ」
「は、ぁ…たりない…?そっか…そうだね、まだ欲しいよね。じゃあ、もっと俺好みにならないとね」
軽いキスを何度もされる中で呟かれた彼の言葉を聞き取る余裕なんてなく、いつしか彼の熱を求めて、もう一回、もう一回と、旦那ではなく、彼を求めるのだった。
コメント