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相互鑑賞 見せ愛公園
噂によると、地元の寂れた公園「ふれあい公園」は、決まった日の夜中に、えっちなこと目当てで人が集まってくる公園らしい。
昔はその噂と、有り余る性欲を満たすために、その集まりに行こうとしたこともあった。しかし、所詮は噂話、明確な時間も日にちも知らないまま、時が流れてしまった。
***
僕……山本ユキヒロは、都内の大学に進学するために、来週には引っ越すこととなっている。幼なじみの二人が、見送りついでの飲み会の席で、そんな噂があったよな、と話題をだして盛り上がっていた。
「その噂さァ、試したことないやついるのか?」
「……試そうにも時間も日にちもわからなかっただろ。」
「そうだけどよォ……」
気になるじゃん?と言う幼なじみの彼、富岡は少し酔いが回っているのか、もう一人の幼なじみである長江の注文した食べ物を食べていた。
長江は鬱陶しそうに富岡の箸を邪魔しているが、ついに諦めたのか、富岡に食べさせることにしたらしい。
僕と富岡、長江の三人は、小さい頃からウマが合って、よく近所の公園で遊んでいた。
小中高一緒だったのもあって、今回僕が引っ越すことに、ずいぶん驚いているようで、寂しそうにも見える。
「でもそれってずいぶん懐かしい話だよな、俺たちが小学生くらいの頃に流行った話じゃないか。」
「だよなァ、あの頃はみんなして夜中に集まって、公園行って……問題になったもんな。」
PTAや教職員を巻き込む問題にもなったことを、僕たちは酒の席の笑い話にしている。しかし、当時の親からしたら、絶対に笑えもしない話だろう。
「……って富岡!飲みすぎだぞ!?」
「んー……あともう一杯……」
「おい長江。」
「ああ、わかってる……っておい!ビールはもう終わりだ!……山本、すまないが会計を頼んでもいいか?」
俺のビール! と騒ぎそうになる富岡に水を渡して、長江から受け取った会計表を持ってレジに向かう。
俺の見送り兼飲み会だってのに、なんで俺が会計してるんだ…と思わなくもないが、もうすでに諦め半分。そして、いつもと変わらない態度と関係に安堵するのが半分くらいで、なんともいえない気持ちになった。
「ちょうどのお預かりで……レシートはいりますか?」
「……」
「お客様?」
「っあ、は、はい!いります!」
レシートを手渡してきた店員さんがやけに色っぽく、ぽってりとした厚みとツヤのある唇に、少しふくよかなもの。締まるところは締まっていて、まさに健康的理想体型といった美女で、ついみとれてしまっていた。
……だが、左薬指に指輪を付けていて、やっぱりこういう美女はもう、相手がいるんだよなと肩を落とした。
レシートを持って席へ戻る。富岡を介抱する長江と店を後にする。
今回のお金はまた会う時にしよう、富岡は酔っ払っているし、長江はその介抱で忙しそうだ。
二人と別れてレシートを財布にしまおうとした時、レシートの裏に隠すようになにかのメモがくっついていた。
店員さんの私物か? と思いつつ見てみると「AM2:00、ふれあい公園」と書かれていた。
……もしかして、噂のえっちなこと目当てで集まる人たちの中に、あの美女がいるのか!?
そう思った僕は、富岡と長江の二人と別れてから、慌ててふれあい公園に向かった……噂の真偽もそうだが、純粋に、えっちなことに興味があったからだ。
現在時刻はメモに書かれていた通りの、午前二時。
ふれあい公園自体は寂れていて、日中でも人気がほとんどないはずなのに、なぜかこの時間に先客として数人の男女がいた。やはり噂は本当だったのか…。
女性たちは、挑発的にスカートをまくり上げて、パンティの役割を果たしていないような、中央の布地がないパンティを見せつけるようにして動いている。
男性たちはそれに合わせて露出した男根を上下に擦り上げていて、異様な光景が、目の前に繰り広げられていた。
「来たんだ。」
聞こえるか聞こえないかくらいのとても小さな声で、背後から声をかけられた。
ばっと振り返ると、背後に今の時期には暑いだろうトレンチコートを羽織った、先程の少しふくよかな、あの美人な居酒屋の店員さんが立っていたのだ。
「あの、これは……」
「前に噂が広まりすぎてしまった、しばらくやめてたけど、久しぶりに開催した相互鑑賞会だよ。」
「男の人のおちんちんと女の人のおまんこを見せあって、本番なしのギリギリまでえっちなことをする会だよ。」
そう笑う居酒屋の店員さんは「レイコ」と名乗り、僕を男性陣の中に混ぜると、レイコさんはトレンチコートの前を開けて、布面積の少ない大変卑猥な水着を披露した。
それには横にいた女性も気が気でなかったようで、レイコさんのたわわに実った胸に顔を埋めてやわやわと揉みしだいている。
レイコさんはレイコさんで、僕たちに背中を向けて胸を揉んできた女性の大きな尻を割り開いて、尻穴周辺の処理が甘く毛が数本生え残っている部分を見せてくれた。
左右にいる男性はごくりと生唾を飲み込んで、手の動きを激しくしている。彼らの動きから、お互いの興奮度がものすごくが伝わってくる。
「本番がシたい人は多目的トイレに、そうじゃない人は帰ってね。」
そう言ったレイコさんは、自身の胸元に顔を埋める女性を離して、ふれあい公園内にある多目的トイレに向かって行った。
残された男女共に多目的トイレに向かおうとする者、いそいそと帰る支度をする者と別れていて、筆おろしもまだな僕は、多目的トイレに向かうことにした。
「来たんだね。」
トレンチコートをトイレのドアにひっかけて便座に座っている。多目的トイレに向かった男性数人の勃起ちんこを握ったり、豊満な身体を好き放題させているレイコさんは、そう言った。
「あの、もしかして……」
「本番は一発一万だけど、童貞だったら、最初の一発はタダにしてあげるよ。」
その言葉通り、レイコさんの太ももには、黒の油性ペンで正の字が書かれていて、床には若干湿っている万札が数枚落ちている。
「ほら君たち、初めての男の子が来たんだから、ご奉仕してあげて。」
店員さんの時の態度からは想像できないくらい高圧的なレイコさんは、その場にいた男性たちに指示を出して、僕の衣服を脱がせてきた。
「ちょっ、やめ……!」
「嫌じゃないでしょ?君……居酒屋で見た時から思ってたけど、コッチにも興味あるんじゃない?」
男性たちはなにかに操られているかのように僕のお尻をまさぐって、やわやわと、ない胸を揉んでくる。
「どっちかって言うと、童貞卒業より処女卒業って言葉の方が似合いそうだけどなぁ……どう?」
私に挿れながら、童貞と処女卒業しよっか。
なんて誘ってくるレイコさんには悪いが、そもそも僕は男同士のセックスのやり方なんて、知ってるわけがない。
戸惑っていると、背後から男性に組み敷かれてしまった。そして、レイコさんの上に覆い被さるように押し倒される。
「ひ、ぃっ!」
「大丈夫だよ、すっごく気持ちよくて、夢中になっちゃうから。」
尻を突き出したような体勢で、背後からなにか、粘度のある液体かゆるいゼリーのようなものを、ぶちゅぶちゅと尻の中に注ぎ込まれた。
とてつもない違和感から逃げ出そうとしたが、レイコさんに抱きしめられて動けないし、むにゅっとした感触のレイコさんの胸に、僕の顔が埋まってしまい、少し息苦しい。
しかし、初めて触れる女性の胸の柔らかさに(明らかに背後では、僕の知らない尻穴弄りをされているのだが)興奮してしまう。
「ほら、もうすぐ私のナカに君のちんぽが入るんだよ……準備してね。」
レイコさんにリードされつつ、コンドームを付ける。初挿入にドキドキしながら、レイコさんの蜜壷に男根を挿れていく。
挿入と同時にぬちゅり、と先程まで遊んでいたらしい男性の精液が漏れ出てきたが、そんなことが一切気にならないくらい、レイコさんのナカはあたたかく、湿っていた。
一定間隔で締め付けてくるそこに、興奮から射精をしてしまう寸前でどちゅん、と背後から重く、違和感のある痛みを感じた。
「あ、ぎっ……!?」
臀部に触れるように人肌が、もしかしなくても、今まさに僕のお尻には、男根が入っているのではないか?とすぐに分かった。
「あ、ぁあっ!やめ、ぬいてっ!!」
「しーっ、君……ここ住宅街の公園だよ?」
静かにしようね。
そう言ったレイコさんの指示に従った様子で、一人の男性が(トイレの中にあった)簡易的な掃除用具入れの中からガムテープを取り出して、僕の口にべたりと封をするように、貼り付けてきた。
もごもごと声が出せない状況で、前はともかく、後ろを犯される経験なんてしたくなかった。
男根から感じるレイコさんの膣の具合はとてもいいのに、背後から見知らぬ男性に犯される行為には違和感しかない。
それなのに、なぜか、じわじわと下腹部に響くように気持ちよくなっていき、困惑した。
「あ、いい顔……君ってば本当に女の子みたいだね。」
からかうレイコさんは膣を締めて翻弄し、背後の男性は性感帯を探るように、ゆっくりと腰を揺らす。
あれから何十分経っただろう。
初めてだから一発目はタダだと言ったレイコさんの膣内に、数え切れないくらい何度も射精しているはずなのに、まったく萎える気配がない。
むしろ(今僕を犯している男性が上手いのかわからないが)前の男根より後ろ……お尻で気持ちよくなってきていて、そのことで余計に頭が混乱している。
女性のものとはまた違った快感なんだろうけど、それでもこの快楽は、段違いだ。
もっと深く、奥まで犯されたい。
そう思った頃にはレイコさんの膣から僕の男根は抜けていたし、レイコさんの座っていた多目的トイレの便座に僕が座らされて、レイコさんを犯していた男性たちに、犯されはじめていた。
「初物だから締め付けがいいの?ふぅん……私も男だったら、味わえてたのになぁ。」
残念そうなレイコさんの声が遠くから聞こえてくる。それよりも、目の前の男根に奉仕して、精液まみれになる快楽はものすごいものだった。
「都内でも性処理頑張ってね、ユキヒロ君。」
レイコさんが最後にかけてきた言葉は、頭が真っ白だった僕の記憶には残っていない。そして、いつトレンチコートを羽織って去っていったのかすら、覚えていないほどだ。
ただわかるのは、夜明け前までの数時間で、僕は内ももにびっしりと黒い油性ペンで正の字を刻まれて、雌として見知らぬ男性たちに調教されたこと。
そして、これからこの街を出て都内の大学に行くというのに、離れ難い状況にさせられてしまったということだけだ。
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