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甘い夜、私は元カレとよりを戻す
トオルと付き合って3年。
カンナと幼馴染でもあるトオルは、隣同士に住んでいる。
思い返すと、幼稚園時代から手を繋いで登校していた関係が、大学生では恋愛関係へと発展したのだ。お互いの親同士の仲も良好だ。
「カンナちゃん、おはよう。」
「おはようございます。」
「いつもトオルのお弁当まで、悪いわね。カンナちゃん本当、いいお嫁さんになりそうよ。」
カンナは野球部に入部しているトオルのお弁当作りを、自らかって出ている。汗を流すトオルのそばで、マネージャーとして応援したいカンナだったが、どうもカンナの性質はマネージャーというタイプではなく、文系だった。お嬢様育ちのカンナは、体力に自信がなかったから、その代わりに出来ることをしようと思い、トオルのお弁当を作ることにしたのだ。
「いいんです。おばさま気にしないでください。トオルのお弁当はあたしのためにもなりますから。将来調理師か栄養士の道へと進もうと思って…だから良い経験なんです。」
「本当、カンナちゃん、うちのトオルのお嫁さんに今からキープしておこうかしら?」
「あっ、いけない!学校遅れちゃいそう〜。」
なんて、いつもの朝が始まった。
「トオル、はい、これ。お弁当。」
「おっさんきゅ。今日はなに?」
「お弁当開けてからのお楽しみ。」
「ん?今誰かの視線を感じたわ…。」
「どうしたの?」
「うん、視線を感じるんだよねこの頃。」
いつもの二人のやりとりを、近くから眺めている男の子がいることに、この時まだ気がついていないカンナ。
「ねえ最近ストーカー以外にも通り魔も多いらしいから、気をつけないと。」
「うん、お互いね。」
「ところで、トオル君とはどこまでいってるの?」
「え?なによ。どういうこと?つまりさーエッチはしたの?ってこと。」
さすが、沙織は目の付け所が違う。
「沙織こそ、彼氏、とっかえひっかえなんでしょう?」
「うふふ…青春は短いのよ。今のうちに恋愛を楽しまなくちゃ、あっという間におばさんよ。そうなると恋愛云々なんてないんだから〜。」
「そうよね…」
沙織にはっきりと将来をイメージされたカンナ。そういえば、トオルってあたしの体に興味がないのかしら…。一度もそういう関係になったこともないわ。チャンスはたくさんあったはずなのに。
カンナは沙織から釘を刺されて気がついてしまう。トオルの気持ちが知りたい…。
「ただいまあ…ああ、疲れたあ。」
体力の乏しいカンナは学校の往復と授業だけですぐに疲れてしまう。帰宅してリビングのソファにもたれて座ってしまうと、身体が動かなくなってしまうほどだ。見るからに色が白く細身、か弱い印象のカンナ。カンナ自身も気がついていた。ダイナミックで色気を漂わせる女と違い、恋人のトオルだって、あたしの身体じゃ欲情しないんだわ…と。
入浴の時も同じように、カンナは自分の身体を見つめた。
「あーあ、もっとグラマーでボンキュボンのボディならトオルも愛してくれたのに…」
その日の夜、カンナは欲求不満で、一人で慰めてしまった。
「はあ、トオルがいるのに…トオルってば全然ムードもないんだから、やっぱり女のあたしから迫るしかないのかも…」
「そうよ、やっぱりあたしから堂々と迫ってみなくちゃあ…、だってトオル経験がないはずだもの…あたしだって初めてだけど…」
カンナはその夜作戦を練ることにした。といっても手の込んだ内容でもなく、その気になって、ただ、トオルの部屋に乗り込む作戦。トオルの家族が留守の時間でなきゃ、周辺環境については警戒心が強かった。家族ぐるみの付き合いだったからだ。
カンナはトオルの部屋の照明が点灯すると、しばらくしてトオルにLINEをした。
「ねえねえ、今からそっち行っていい?」
「いいけど…どうしたの?」
「うんちょっとね。」
カンナの家のベランダからお隣の玄関は丸見え、おばさんが出かけた瞬間を見送り、トオルの部屋へと向かった。
「へへへ、きちゃった。」
「まぁ、その辺に座って?」
トオルはテレビから流れるサッカー中継を見ながら、ぶっきらぼうに言った。
「うん。ねえねえ…」
カンナはトオルの隣に座り猫のように擦り寄ってみた。ポーカーフェイスを崩さないトオルの顔からは、どんな気持ちでいるのか、本音を見抜くこともできない。だめだ…とカンナは悟った。雰囲気で流す作戦はだめだから、これは、かけるしかないわ。
「トオル!」
カンナはトオルの体に抱きついた。ぎゅうっと力一杯。それでもトオルは悟ることなく、白々しい。これって、あたしに興味がなくて、そういう関係になりたくないってこと?幼馴染のカンナにとって、トオルのそういう突き放し方はショックが大きかった。
「もういい!」
「カンナ?ちょっと?」
カンナは部屋を勢いよく飛び出していった。しかし、驚いたトオルは追いかけてこなかった。
その出来事から二人の関係はギクシャクしだし、以前のようにお弁当を作ることも無くなってしまった。
二人の関係はその後修復されることはなく、自然消滅してしまったのだ。
***
「カンナちゃん、俺と付き合ってくれない?」
告白してきた男の子は、同じ学部の同級生だった。彼は恋人候補としての印象は、悪くはない。カンナは内心でそう感じていた。性格が合わなければ、すぐに別れてしまえば良いと考えていた。
カンナに告白してきたシュンは細身で色白で、カンナとの釣り合いも取れていた。たびたび、カンナの自宅へと遊びに来ることもあった。隣に住んでいるトオルは何を感じているのか、カンナには全くわからない。何を考えているのかわからないトオルよりも、シュンとの青春を優先すべきだ、とカンナは思っていた。シュンはさすがに付き合って間もない時期に手を出すことはなかった。シュンも奥手なのね。でもきっとそのうちに…。
カンナの予想は外れることがなかった。付き合って3か月目。シュンはカンナをホテルへと誘ってきたのだ。
「うーん、ホテルは行ったことないし。」
優柔不断に応えていると、シュンはさらにおして、カンナの家にあがろうとした。カンナにはエッチ目的であることが透けて見えていて、シュンへの気持ちが徐々に冷めていく。初めから好きなんていう気持ちなんて持っていなかった。悪くはないという期待感のみで、でも今なぜか、シュンへの関心が消えてゆく。シュンの道徳感が、カンナをそうさせてしまったのだ。
夜になり、カンナは部屋で悶々とした心身を嘆いていた。
「はああ、トオル…」
何故か声に出るトオルの名前。ただの執着でしかないわ…きっと…トオルの部屋に灯りが灯る。
カンナはトオルの家のインターホンを鳴らしてみた。この時間なら、トオルのおばさまも留守だわ。
ピンポーン。
「どちらさまですか?」
「…カンナ。」
「え、ちょっと待って。今開けるから」
「…最近顔見せなかったね。」
「うん…ねえ部屋に上がってもいい?」
「え、いいけど…」
カンナはトオルの見慣れた部屋にあがる時、相当覚悟を決めていた。心なしか、表情もこわばっていて、カンナらしい天然キャラの雰囲気は消えていた。トオルはカンナの前を歩き、カンナの意気込みには全く気づいていない。ついにカンナは、後ろからトオルに抱きついた。
「カンナ?どうした?」
鈍感を装っているのかとカンナは思った。それとも、とことん鈍感な男なのか、カンナにはイライラしてしまうほどのマイペースさなのだ。
「ねえ、あたしたちってどういう関係だった?」
「どういうって…」
「あたしたちって元恋人でしょ?付き合ってた時…、恋人なら普通はエッチするよね?あたしトオルのこと好きだったけど、トオルは違ったの?」
「好きだったよ。ちゃんと。」
「じゃあ、なんで?恋人同士なのにエッチしてくれなかったの?」
「好きならエッチしなくちゃいけないの?」
「え?…」
カンナは表情を曇らせた。
「どういう意味?トオルのいう好きって何?家族同然として好きってこと?」
「それもあるけど。俺はオトコだけど、カンナは女の子だから…」
「だから?女の子だから何?言わなくちゃわからないよ。」
「だから、カンナは女の子だから…俺とは違うだろう?女の子は気軽にエッチなんかできないだろう?」
「それって…あたしのこと大切だからこれまでに一度もエッチしなかったっていう意味?」
「そういうことになるかなあ。」
「…やだ、どうして早くそう言ってくれないの?あたし、トオルがあたしのこと嫌いなんじゃないかと思って別れたのに…」
「ごめん。」
「トオル…」
カンナはトオルの体に抱きついて甘えた。トオルの気持ちを知ることができて、カンナは涙が溢れた。これまでの寂しさを埋めるかのように…。
「カンナ、…いいの?俺もう止まらないよ?」
「うん。」
カンナは想い人に触れられる快感を、今、やっと味わうことができた。
「カンナ?怖いの?やめようか?」
「怖くない。大丈夫、気持ちいい。」
「カンナの性感帯もっと俺が征服してやるから…」
トオルは硬くなったカンナの乳首を指先でコリコリ擦るようにして、徐々に刺激を加速させた。
「……はぁっんんっ」
カンナとはだれも気がつかないような色っぽい声が、口から出る。
「カンナ…俺のも触れて。」
「…おっきい」
トオルに誘導されて手にしたものは、想像以上に大きく硬かった。処女のカンナには刺激が強すぎた。トオル…。本当に大丈夫かなあ、結構大きそうだけど、女の子のあそこに本当に入るのかなあ…。
心の奥で密かに疑ってしまうカンナ、無理もない。まだ一度も体験したことがないのだから…。今まではトオルの男としての包容力に酔いしれていたカンナも、いざとなると、身構えてしまう。トオルが男だと言うこと、自分とは異なる体であることに、カンナは気付いてしまったのだ。
「カンナ!?自分でイってみて!」
「え?…これが欲しい。トオルのを生で入れて欲しい。」
カンナはここぞとばかりに腹を括った。ストレートにトオルに伝えるカンナ、二人の気持ちはこの瞬間に、ぴったりとあった。
「入れていいの?行くよ?痛ければ、すぐにやめるから。」
「うん。大丈夫。入れて…」
「行くよ?」
「…うん。…あっ」
細く白いカンナの身体の中へと入ってゆくトオル。
「はああ。カンナの中、狭い。」
「うん、今入ってきてる…。あっトオルでいっぱい。」
「はぁ…。カンナん中すごく気持ちいい。」
「うん…あたしも…今すごく気持ちいい。」
二人は入れたあとしばらく動かず、抱き合っていた。お互いの身体の温もりを伝え合う。
「カンナ、動いてみても大丈夫かなぁ?」
「う…ん。上下するよ?」
「え?上下?」
ポカンと口をあけているカンナをみて、トオルは、ああまだこの子は本当に知らないんだなと安心したようだった。
「ピストン運動って男の間ではいうんだよ?カンナの中で俺のものを出し入れしてお互い快楽を得る方法。」
「え?それって気持ちいいの?」
「うん、そうだね。でもカンナはどうかな。」
「ねえねえ、一度そのピストン運動ってやってみて。お願い。」
「…いいよ。行くよ。」
ゆっくりと腰を引いて、また腰を押し付ける。カンナの産毛のような少ない陰毛と、トオルの陰毛が擦れあう。
「あっ…いやっ…やんっ気持ちいいっ」
思わずカンナは口にした。
「カンナ……」
トオルはカンナの名前を口にしながら、何度もピストンを行う。カンナも、トオルの体の動きに合わせようと試みる。
「はぁっ んっ んぅっ ちょっ激しすぎかも…」
「大丈夫?カンナ。俺ごめん、もう止まらないよ。」
トオルはフィニッシュに向けて興奮気味に体を動かしてゆく…。
「うっはあああ出るっ」
「あ!んん~っ……もっと奥までお願い」
あの内気な美少女カンナが女になった瞬間、トオルも想像していなかったような、エッチな女を演じた。
「トオル?こういうのはどう?」
「ちょっと…カンナ。やめろよ」
カンナはトオルの腕を紐で縛り、騎乗位の態勢になった。トオルはまだゴムを用意していない。カンナはトオルの上に乗り、ゆっくりと腰を下ろしていく。
「ちょっとちょっとカンナ!!カンナ!できたらどうするんだよ。」
勢い余って怒鳴ってしまったトオルに、カンナは俯いて声を上げている。ヒクヒクすすり泣きながら…。
「どうしてできたらダメなんて言うの?別にできちゃってもいいじゃない。それともあたしは遊びの女?トオルは結婚のこと考えてないの?」
「カンナ…」
カンナの心には、トオルとの付き合いを、どうしても一歩前に進ませたいという思いが強かったのだ。…カンナはトオルと結婚したいとまで思うようになっていたから。
「俺だってカンナとのこれからを考えてるよ。結婚もちゃんと考えてる。でもお互いまだ大学生じゃないか。親に援助された夫婦なんて、変だろ?これから社会人として稼いで養えるようになってから、プロポーズするから。それまで待てない?」
トオルの正論を聞いて、カンナはわぁと泣き出してしまう。
「…わかった。」
口下手で優しいトオルと内気なカンナの思い違いが引き起こした自然消滅。カンナから口火を切ることによって二人は関係を修復させた。
「これからは、なんでも言葉でちゃんとコミュニケーション取ろうな。」
トオルの優しい提案に、思わずカンナは涙を拭う。
「…よっしゃ!じゃあもう一回しよう…カンナ。」
「やだあ…もう。」
「俺、気持ちが通じたらムラムラとしてきて、すごくカンナを抱いてみたくなる。」
「うん、あたしも同じ。トオルと気持ちが通じたらすごく濡れて来るみたい。ほら、ここ触れてみて。」
「カンナのここ、いつもよりもキュウキュウ締め付けてくる…」
「うん…いやあ。」
トオルがカンナのデリケートな部分に触れた瞬間、カンナのあそこが締め付けられた。
「トオル、今入れてみて。すごくキュウキュウすると思う。」
「うん、いいよ、じゃあお尻突き出して。」
バックの体位になるように、トオルはカンナに指示をした。
「カンナ…エロいな、お尻まで愛液で溢れてるよ。」
「ん。早く…、トオル、はやく入れて。」
「うん、待って今入れるから…」
「っん〜。ぬるんて入ってくる…!」
「あぁ、カンナすごい。」
トオルは後ろから思い切りカンナを突き続ける。
「あンンッっっっっ。んぅっはぁぁああ!」
「カンナ、カンナ、好きだよ。」
トオルは優しくカンナの背中にチュと吸い付き、二人は覆い被さるように倒れた。
その夜、二人の結合部分は、甘いかおりに溢れていた。
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