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純愛

玩具の使用は計画的に

「ねえ、今日はさ、これ使ってみたいんだよね」

夢中でキスをしていた私の上から降りて、ふとベッドサイドの棚の中を漁り出す。

いつもとは少し違う彼の態度にふと首を傾げながら上体を起こして、その様子を見ていた。

今日会う約束をした時から、少し違和感を感じていたのだ。

いつもなら二人で選ぶホテルを、今日だけは彼が個人的にずっと行きたいと思っていたホテルに行くことになっていた。

普段よりも通話した時の声が弾んでいて、そんなに行きたかった場所なのかと思っていたが、どうやらホテル自体に特別な仕様があるらしい。

彼は棚の中を探りながら、何かを数個取り出した。

その手には、見たことはあるが一度も使用したことはないバイブとローターが握られていた。

「な、何を取り出してるのよ…!」

「そんな顔真っ赤にして怒らないでよ。だから言ったじゃないか。俺が今日はこのホテルに来たいって」

「だ、だけど…そんなこと一言も言ってなかったじゃない…!」

「でも、面白い物があるんだとは言ったじゃない?」

ああ言えばこう言う彼の言葉に、何も言い返すことが出来ず、唸り声を上げて文句ありげに彼を見つめた。

私の視線にさも楽しそうに笑みを浮かべて、バイブとローターをベッドに放り投げた彼に、顔から火が吹き出そうな程恥ずかしさを覚える。

そんなものなんて一度も使ったことはないし、一人でする時でさえもそんな物を使ってしたことはない。

警戒心を剥き出しにして、ベッドに置かれた大人の玩具を睨み付けた。

どうやら今回はこれが目的だったらしい。

「幅広くあるんだよ。最新の物から人気の物までさ。いつものセックスばっかりじゃマンネリ化しちゃうだろ?なら目一杯楽しみたいなって思ってさ」

そう言って私の話を聞かないまま、一人楽しそうに玩具を手に取って興味ありげに見ていた。

どうやらこのホテルに決めた理由は、大人の玩具が豊富だからという理由らしい。

ベッドに置かれたグロテスクなまでに紫色をした太いバイブ。
ゴツゴツとした突起物が付いていて、彼がスイッチを押すと激しく上下やグネグネと動き出した。

奇妙な動きに思わず小さく悲鳴をあげて、おぞましいその物体を見つめた。

「そ、それどうするの…?」

「どうするのって…君に使うに決まってるだろ?だから、どれに興味があるか教えて」

緊張する私の耳元で囁きながら、額と頬にキスをしてジッと熱い視線を向けてくる彼に、何も言えなくなる。

期待してないと言えば嘘になる。
けれど初めて使用するそんな禍々しい物を選べと言われても、どれが良いのかも分からない。

困惑しながらもふと目に付いたのは、比較的まだ細くて突起物も少ないバイブ。それを指差した。

指を差されたバイブを見て彼の目が異様に輝き、一人納得した様子で頷いていた。

「やっぱり君も気になるよね!俺もずっと気になってたんだよ」

嬉々として話す彼は私の指差したバイブを手に取って、にんまりと嬉しそうに笑みを浮かべた。

こういう時は比較的意地悪なことを考えている時だと、最近になって気付いた。

彼はバイブを指でなぞりながら、ゆっくりと私に見せつけるように舐め上げた。

そしてまた私を押し倒して、ワンピースを捲り上げて、ショーツを脱いでと言われる。

足を左右に開いて彼に見えるような体勢を取ると、心底嬉しそうな笑みを見せた彼は、先程までキスや愛撫をされていたことで、濡れてきていた膣にバイブを押し当てた。

温もりも何もないひんやりとした冷たさを感じ、小さく悲鳴が零れる。

そんな私の悲鳴もお構い無しに、彼はうっとりと目を細めながら膣内に細めのバイブを埋め込んでいく。

「ん、ッ…ぐ…ッ」

圧迫感はないものの、少しばかり異物感だけは拭えない。

何かが膣内にあるような違和感に、足をモジモジと動かしてしまうが、すぐに彼が足の間に体を割り込ませてきた為、閉じることは出来なくなった。

スイッチを入れる訳でもなく、ただグニグニとしたシリコン素材のような感触が、浅い所や深い所を行ったり来たりしているような感覚だった。

それでも、いつもの陰茎のサイズよりもふた回り程小さいせいもあってか、まだ体的にも余裕があった。

顔を顰めた程度だった私に気付いた彼が、まだまだ序の口だと言わんばかりに、軽く抜き差しをし始める。

「ん…ッ…ん…ぅ…ッ」

「まだまだ物足りないよね?でも、その顔がいつまで持つかな」

さも楽しそうにグポグポと抜き差しするものの、膣内は物足りなくヒクつくだけで、それ程快感を得られるものではなかった。

しかし、ある一点を掠めた瞬間に抜き差しをしていたのが止まる。

は、と張り詰めていた息を吐き出して、彼の方を見つめると、うっとりと私を見つめて軽くキスをしてくれた。

少し垂れている目が、細められて大きく喉が上下したのが見えた。

「一緒に楽しもうね」

そう優しく囁かれた直後、ふっくらとしている一点に止まったままのバイブが強く痙攣し、そこの箇所を集中的に責め始めた。

「んぎぃぃッ!?」

強烈な衝撃が体を駆け抜けて、背を大きく仰け反らして達してしまった。

けれど達しても尚、バイブのスイッチは入ったままで激しく痙攣し、敏感になっている膣内とふっくらとしている箇所を何度も執拗に刺激する。

訳も分からないまま、目に薄らと涙が浮かんでくる。

足を閉じたくても彼の体が間に入っている為、どうすることも出来ない。

頭の先から足の先まで痺れるような強烈な快感が走り、喘ぎ声が漏れてしまう。

「や、ッやあぁ!!いや、ぁぁッ!そ、こやだやだぁッ…!!うぅぅぅッ!!」

「こんなに細いのに、強烈だよね。君ならきっとどの玩具も気に入ると思うんだ」

やめてと叫んでもスイッチを切ってくれない彼は、更にバイブの抜き差しを始めて、敏感な箇所を集中的に責め立ててくる。

ビクビクと激しく痙攣する腰と、プシュッと噴き出る愛液ではない何かが迫り上がってくる感覚を感じた。

ビクンと大きく揺れる腰と、下腹部に感じる明らかな尿意。

あんな汚い物を出したくない。
そう頭では思っているのに、尿意と共に迫り上がってくる快感の波に抗うことは出来そうになかった。

チカチカと点滅する視界と、藻掻くように片方の手はシーツを強く握り締めて、もう片方の手は下腹部を強く抑えた。

しかしその抵抗も虚しく、ブシャァッと膣の少し上から噴き出てしまった透明な体液に、体を跳ねさせて、背を仰け反らせて声にならない声をあげて絶頂を迎えた。

ビュクビュクと噴き出る体液は、止めどなく溢れ続けて、彼をびっしょりと濡らしていく。

「やだやだぁッ、あぁんッ!!いや、ぁぁぁッ!ぬい、てぇ、ッ!ぬ、いてぇッ!」

「まだだよ、今度は更に強いやつなんだから」

縋るように彼の腕を掴むも、力の入らない手ではただ弱々しく触れているだけだった。

彼はそれを嬉しそうに掬い上げて、手の甲に軽いキスをする。

セフレの関係だというのに、こんな恋人のように優しくされてしまうと、嬉しくないはずがなかった。

高鳴る胸に、彼にキスをしてと小さく呟くと、嬉しそうに目を細めて、私の乱れる髪を撫でながら唇にキスをしてくれた。

それが嬉しくて、何度もキスをしながら気が逸れた瞬間。

グリッと強く秘豆にローターを押し付けられて、激しいバイブ音が体に響く。

「ひゃうぅ、ぅぅッ!?」

強い刺激に、力の入らなくなっていく腰は、ただガクガクと痙攣し、愛液かそれとも潮か分からない体液を噴き出しながら絶頂を迎えた。

プシュプシュと噴き出る体液を止めることが出来ず、ガクガクと痙攣する腰に合わせて体液も弧を描いて床に飛び散っていった。

それが恥ずかしくて、無意識に涙が溢れていた。

ガクガクと痙攣する腰をがっしりと掴まれ、引くことも捩ることも出来なくて、ただ与えられ続ける快感に背を仰け反らせて喘ぐしかできない。

涙でぼやける視界に映る彼は、いつしか陰茎をズボンの中から取り出していて、上下に擦り上げていた。

先端からはトロトロとした先走りを垂れ流し、荒い呼吸をして、バイブの挿っている膣に擦り付けられる。

その感触すら体は敏感に感じ取ってしまい、ガクンと腰が大きく痙攣し絶頂を迎えた。

「ひ、ぃぅッ!あぁぁッ!や、やあッ…!いや、ぁ…!またぁ、ッいっちゃうぅ…!!」

「は…ぁ…ッ、堪らない…可愛いよ、ほんと…これならたまには…悪くないかもね」

目を細めたのが見えて、彼の声色もどこか荒く、我慢の限界のように思えた。

グリグリと張り詰めた陰茎の先端を膣に擦り付けていたのが止まり、ズルンッと勢いよく膣内からバイブが引き抜かれ、その代わりに既に臨戦態勢の陰茎が挿入された。

「ひぐッ、ぅぅん!それ、ぇッ、すきぃッ…!!」

やっと膣内に感じる圧迫感と、くっきりと分かる太さの陰茎に、体が歓喜しビクンビクンと魚のように跳ねてまた達した。

バイブの激しい痙攣ではなく、浅い所から深い所までをゆったりと突き上げられて、少し物足りなさを感じる。

それでも秘豆に充てられたローターのスイッチは切られることはなく、ゆったりと突き上げられながらもブルブルとそれは強い刺激を与え続けてくる。

同時に責められる刺激に耐えきれず、涙を流しながら腰をビクビクと痙攣させながら何度も達してしまう。

「ひぐぅ、ッ、あぁぁぁッ!も、やだぁッ、いら、なぃッ、うぅんッ!うぐぅッぅ、ぅぅ!」

「はは…可愛いなあ…俺のオカズになっちゃうけどいいの?…ッぁ、…ッ…も、でそう…ッ」

唇を噛み締めて、ゆったりと動いていたのが今度は深々と奥を突き上げられる。

グポグポと激しく奥を突き上げられて、痺れる快感が体のあちこちを駆け抜けて、締まりのない口からは唾液が溢れる。

自分の声とは思えない喘ぎ声がひっきりなしに溢れて、腰をガツガツと揺さぶられる度に、自らも腰を動かしていた。

激しく突き上げられる膣内はしっかりと陰茎を締め付けて、幾度も達し続けてすっかりユルユルになってしまっていた。

ゴリリッと強く突き上げられ、陰茎がビクンと大きく脈打つ。

それと同時に、腰を掴む彼の指先に力が込められ、痛いぐらいに腰を強く掴まれる。

ゴンゴンと子宮口ばかりを激しく突き上げられて、あぐッと情けない喘ぎを漏らして、愛液を噴き出しながら達した。

ぜえぜえと荒い呼吸をしながらも、徐々に早まる彼の突き上げに、彼の腰に足を絡めてもっと深くまで繋がるように引き寄せた。

「ぐ、ぅぅッ!だひ、てッ、ぇぇッ…!な、かぁ、ッああん!、ほしいぃ、のぉッ!!」

「ああ、出してあげるね…ッ、ぐッ…」

呻き声が聞こえたかと思えば、バクンッと今までにない強い痙攣をして陰茎が脈打った瞬間。

ビュルルッと勢いよく中に吐き出される精液の感触にすら、膣内は過敏に反応し、また達してしまい、一滴も残らず搾り取ろうと精液を吐き出し続ける陰茎を強く締め付けた。

背を丸めてビクビクと肩を震わせる彼も、張り詰めた息を吐き出すように深い深呼吸をして、汗の滴る顔を上げた。

高揚した顔がやっと見えて、彼自身も欲情していたのだと思うと嬉しさが込み上がる。

グポグポとゆったりと腰を動かしながら乾いた唇と重なり、うっとりしているとゴソッと何かの音が聞こえた。

ちゅぽっと離れた唇が嬉しそうに上がり、彼の手には見たことがない程、不気味な色をした太いバイブが握られていた。

「さあ、まだまだこれからだからね。気をしっかり持ってね」

ぼんやりとした頭に響く彼の嬉しそうな声と、これから更なる快感が押し寄せてくるのかと想像するだけで、ヘラっと笑みが零れてしまうのだった。

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Akari

皆さま、読んでくださり、ありがとうございます!順次新作をお届けしますので楽しみにお待ちください! 【おすすめ掲載】 ・打ち上げ花火に照らされて(純愛) ・僕たちの初恋(BL) ・夏の暑さに酔いしれる(不倫)

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