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仕事に溺れるくらいならあなたに溺れたい
「少しぐらいその手を止めたら?」
シャワールームから出て来た彼が、心底呆れた様子で深くため息を吐いた。
その視線の先がどこに向いていて、どこに吐き出された言葉なのかも分かっている。
テーブルに置かれたパソコンと書類を眺めながら、打ち込み続ける私は彼の言葉が聞こえないフリをした。
きちんと拭いていないのか、しっとりとした足が絨毯を歩く音が聞こえてくる。
ペショッと頬に掛かる冷たい雫と、少しばかり水の滴る長い髪。
それらが折角着替えた服の中に入り込んできて、思わず身震いをしてしまった。
肌を伝い落ちる水滴は酷く冷たく、本当にシャワーを浴びてきたのかと疑ってしまう。
肩を震わせて、服の隙間から入り込む水滴に、私を見下ろす彼を見上げた。
「ちょっと。壊れたらどうするのよ。きちんと拭いてきてちょうだい」
「俺といる時は仕事はしない約束だって言っただろ。なんだそれは、次の会議の資料とか言わないよな?」
「ご明察。その通りだけど何か?私以外に会議の資料作れる人材がいないのよ」
「…部下にでも任せれば良いだろ。そんなものを全てお前が担う必要はないはずだと思うけど?」
スルッとテーブルに置かれていた書類が彼の手に奪われ、そのまま私のカバンの中に仕舞われていく。
反論しようとしたが、どうやら彼の機嫌はすこぶる悪くなったようだ。
拗ねるようにパソコンを睨みつけて、今にもそのまま電源を落とされ兼ねない凄みを感じる。
急いでデータを保存して、すぐに電源を落とした。
そんな私の姿を見て、彼は安心したように口端を上げて私に抱き着いてきた。
シャワーで温まったはずの体は、少しひんやりとしていて、生肌に温もりを感じられなかった。
「どうしてシャワー浴びたのに、こんなに肌が冷たいのよ。もう一回入ってらっしゃい」
「俺の母親みたいなこと言わないでくれよ。だから言っただろ。シャワーは苦手だって」
「それでもこんなに冷たい体してたら風邪引いちゃうわよ。それか服を着なさい。風邪引いても知らないわよ」
「そんなつれないこと言うなって。それかさ…お前が温めてくれよ。この体でさ」
チュッと軽いキスが項や首筋にされ、小さく体が震えた。
肌は冷たいのに唇は温かくて、肌にキスをする度にじんわりとした柔らかな温かさが伝わってくる。
パタンと閉じられたパソコンのせいで、仕事をする術はなくなってしまった。
これで自分の好きなように出来ることに気付いたのか、鏡の中に映る彼は嬉しそうに笑みを浮かべて、脇の間に手をグンッと突っ込んで来たかと思えば、軽々と体が宙に浮き出す。
大きな悲鳴を上げたのも束の間。
すぐに体はベッドへと押し倒されて、大きな体が私に覆い被さってくる。
「はい、仕事は終わりだから。てか俺の前で仕事なんてすんなよ。まあ…重要だったら仕方ねえけど…」
大柄な体格に似合わない彼のシュンッと小さく拗ねるような態度に、思わず笑みが零れる。
最初に出会った頃はあんなに大柄な肉体と強面の見た目で、思わず萎縮してしまったのに。
出会って三ヶ月でまさかこんなに、人懐っこい犬のように表情もコロコロ変わって、素直な性格であることが分かるまでになるとは。
ポタリと頬に落ちてくる雫に、小さくため息を吐いて、彼の首に掛かっているタオルを軽く引っ張って、頭をワシャワシャと拭いてあげた。
「きちんと水を拭かないと、至る所が濡れちゃうでしょ?ほら、まだこんなに濡れて…」
「なあ、どうせまたシャワー浴びるんだから、少しぐらい濡れてても良いだろ」
そう言って、持っていたタオルが辺りの景色を遮るように、目の前には彼しか見えなくなる。
切れ長ではあるものの、まつ毛は長く、鼻筋の通った、綺麗な顔立ちが私の視界に広がる。
堪え性のない彼の性格を知っているからこそ、小さくため息を吐いて、両頬を手で包み込んで軽く引き寄せた。
熱い唇と私の冷たい唇が重なって、じんわりと彼の熱が伝わってくる。
「仕事一辺倒のアンタからキスしてくるとはな」
「ずっと仕事ばかりしてないわよ。だからこうして休日前にあなたと会ってあげるでしょう」
「そうでしたね。俺の欲求に応えてくれるアンタが好きだよ」
今度は彼から唇を重ねてきて、嬉しそうに口端を上げていた。
その表情を見る度に旦那なんかよりも、彼の方が愛してくれそうな気がして、勘違いしそうになる。
無骨で不器用な所もあるけれど、どことなく私のことを気遣ってくれる優しさには救われていたのだ。
あの頃は、旦那の浮気を忘れたくて誰かに抱いて欲しいと思った程度の関係だった。
正直彼じゃなくても良かったし、彼の浮気の悲しさを忘れさせて欲しかったのだ。
けれど、初めて会ったあの日は、実に有意義な時間だった。
浮気もされ、仕事も押し付けられて、疲れていた心を埋めてくれたのは、紛れもなく彼だ。
デートという名の飲みに連れて行ってくれたり、まるで若い頃を思い出すようなデートコースに、恥ずかしさを感じて笑ってしまったのを覚えている。
それでも嫌な顔一つせず、毎週のように会ってくれた。
何度も軽いキスを繰り返しながら、膝でクンッと彼の股間を軽く押し上げると、大きく目が見開かれた。
「んぐ…ッ…やってくれるねえ…なら、俺もアンタにお返ししないとな」
悪戯を覚えた子供のように、目を細めて笑みを浮かべた彼の人相は、酷い悪役に見える。
思わず笑ってしまいそうになったが、シャツの上からグッと強く胸を鷲掴みにされ、手荒く揉み込まれる。
大きな手に収まる自分の胸の小ささに少し悲しさを感じるも、すぐに痺れるような甘い快感が体に走ってくる。
「ん…ッ、ふぅ…ッ…」
「可愛い声出して良いんだぜ?俺、アンタの声好きだからさ」
腕を片手で一纏めにされ、そのままベッドへと縫い付けられた。
身動きの出来ない私を、彼はさも楽しそうに見つめては、首筋や顎に軽くキスをしながら、下から上へと激しく揉みしだく。
次第にビクンと快感が下腹部を走り、腰が小さく震えた。
それに気付いたのか、嬉しそうに目を細めて今度はグリッと布の中で押し上げていた乳首を手のひらで押し潰す彼。ひんっと情けない声が漏れた。
グ二ッと強めに揉み込まれてすぐに、あっさりと手が離れていき、ベッドサイドに置かれていた私のズボンのベルトを手に取る。
何をするのかと彼の姿を見つめていると、そのまま手首にベルトを巻かれて、両腕を使えなくされた。
初めてのことで目を丸くして、自分が何をされたのか理解できなかった。
そのままベッドの柱に括り付けられて、身動きが一切できなくなる。
「な、何をしてるの…?ちょ、っとやめて…!」
「いつもとは違った抱き方でも良いだろ?少しは仕事も忘れて楽しめるんじゃないのか?」
この時にどうしてこんなことをするのか気付いた。
仕事とプライベートは分けているらしく、彼と会っている間も仕事に打ち込む私を見て、彼がいつも不機嫌な顔をしていたのだ。
そんな時に自分の前で仕事をしないことを約束してくれと言われ、仕方なく彼の前では仕事をしないことにした。
けれど、彼の拗ねるような表情を見る限り、きっと先程打ち込んでいた会議の書類の件でご立腹なのだろう。
それでもこんなレイプのようなことをされてしまうと、流石に焦りが生まれてくる。
身を捩って抵抗しても、彼は私を見下ろすだけで外してはくれない。
それどころか足の間に体を割り込ませて、膝を立てられて、大きく足を開かれた。
一回目の行為を終えていたこともあって、ズボンを履いていないことに気付く。
だが気づいた所でもう遅い。
彼は下腹部を軽く押しながら、ショーツ越しに膣の割れ目を指の腹で弄ってきたのだ。
感じたことのない違和感と、ピリピリと痺れるような快感が下腹部を駆け抜けて、小さく悲鳴が漏れる。
「良いこと教えてやるよ。ここ押しながらイクと最高に気持ち良いらしいぜ?」
「あな、た何を言ってッ…!」
ゾワゾワとした痺れが下腹部を押す度に、波のように訪れて、まるで子宮口を突き上げられているような快感が体に走る。
徐々に中からジワッと愛液が滲み出し、布越しに膣の割れ目をなぞられる度に、ぐじゅぐじゅといやらしい音が響き出す。
「ひ、ぐッ…ッやだ…そ、れ…ぇッ…」
「嫌じゃないさ。ヒクヒク腰震わせちゃって可愛いな」
身を捩って抵抗しても、腕を縛り上げられている為、動くことが出来ず、腰だけが徐々に震え出す。
ググッと軽く下腹部を押しながら、上下に指を動かして、膣の割れ目を擦り上げられる。
感じたことのない甘い痺れが下腹部からゾワゾワと足の先まで駆け抜けて、思わず背を仰け反らせて唇を噛み締めた瞬間。
グリッと強く秘豆を摘まれると同時に、下腹部も一緒に先程よりも強めに押され、強い快感が体を駆け抜けて、ヒクヒクと膣を震わせて達してしまった。
彼の目がビクビクと震える体を嬉しそうに見つめたかと思えば、すぐに愛液でじっとりと濡れるショーツを脱がされ、床に放り投げられるのが見えた。
それに気を取られた直後、グ二ッと骨ばったゴツゴツとした太い指が挿入され、達したばかりで敏感になっている膣内が強く痙攣して、指を締め付けてしまう。
「んぐッ、あぁぁッ!や、ぁッ、!ま、だだめぇッ…!!」
「何言ってんだよ。仕事脳のアンタを解すにはまだまだだろ」
目を細めて、楽しげに笑みを見せた彼の言葉に、約束を破っていることを根に持っていることに気付いた。
違うと伝えたくても、グニグニと膣内を指で突き上げられてしまえば、腰は激しく痙攣してしまい、すぐにまた達してしまった。
ぎゅうっと強く彼の指を締め付けた時、小さく息を吐く声が聞こえて彼に視線を移す。
するとそこにはクルクルとゴムを装着し、そそり立つ陰茎を上下に擦り上げている姿が見えた。
それがやけに魅惑的で思わず喉が上下した。
今まで見た陰茎の中でも一番太くて、逞しいサイズを誇る彼のモノは、いつも私の体を喜ばせてくれる。
旦那のモノなんて比じゃないくらいに、最奥まで突き上げてくれる彼の動きは好きだった。
想像するだけでジュワッと、膣内から溢れ出す愛液に、彼が口端を上げてそれを指で掬い取り、私に見せてきた。
そして躊躇いもなく、口に含んだのを見た瞬間。
グポッと一気に最奥まで突き上げられて、強烈な快感が体を駆け抜けていき、背を仰け反らせて腰をガクガクと上下に揺らして達した。
「ひぐぅぅぅッ!!ん、あ、ぁぁッ!おく、ぅ、や、あぁッ!!」
「だから、ッ言っただろ…!まだまだ解さないといけないってな…ッ!ほら、ここだってこんなにコリコリ言ってるぜ…!」
折角シャワーも浴びてスッキリしたはずなのに、彼の額には薄らと汗が滲んでいて、体の至る所にも汗が薄らと滲み出していた。
グリグリと奥ばかりを突き上げられて、時折敏感な箇所や、私の好きな所を突き上げられて、自分の声とは思えない喘ぎ声が漏れ出てしまう。
ガツガツと突き上げられる度に、腰は激しく痙攣し、動かせない両腕からギリギリとベルトの悲鳴が聞こえてくる。
陰茎が前後に出し入れされる度に、膣内から愛液が溢れ出し、グポングポンと粘着質な音が聞こえてきた。
腰をがっしりと掴まれて、首を横に振り乱し、断続的に訪れる快感に、耐えることが出来ずに何度目かの絶頂を迎えた。
息を整える暇もないまま、彼の突き上げる速度も上がり、ビクンと陰茎も膨張したのを中で感じた。
「あ、ぁッん!!や、やあぁッ!とま、とま、ってぇッ、!ひぐぅぅッ、!」
「は、ぁ…もう、出そう…ッ」
「き、てぇ…ッ!いく、ッ、いぐぅッ!い、っちゃッうぅ!!」
ビクビクと陰茎が痙攣した瞬間。
ググッと強く中に押し込むように突き上げられて、彼が強く息を吐き出した。
私も同時に達してしまい、ガクガクと腰を震わせて痙攣し、背中を仰け反らせてボロボロと涙を溢れさせながら彼を見つめた。
やっと解放して貰える。
そう思ったのも束の間だ。
陰茎が引き抜かれたかと思えば、今度はゴムを付けずに中に挿れられた。
「や、やだッ、!ま、ってッ…!」
「待てない。まだまだ夜は長いんだから。仕事のことは忘れて、俺ともっと良いことしような」
拘束された腕を離して貰えず、与えられる快感によって、既に仕事のことは頭になかったのだった。
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